こんにちは。
気がつくと,そろそろ10月も終わります。
野球では日本シリーズがはじまり,将棋では竜王戦がはじまり,そろそろ今年も終わりだなあと感じはじめています。
ある年の暮れにこんなことがありました。
たまに行っていた手品ショップがあります。一度,あるお店でマギー審司さんをお見かけしたことがあります。人様に披露できるような腕前ではないのですが,宴会芸で手品をやることがあります。その程度には,手品ショップを利用するわけです。
おそらく夏くらいだったと思います。
店長さん(マジシャンです)にあれこれと相談に乗っていただいて,実際に手品も見せてもらって,ある手品の道具を買いました。ウサギ(本物ではないですよ)の手品です。
家に帰って,早速練習をしてみようと思ったのですが,どうやら手品に使う箱が1つ足りないようです。店長さんが見せてくれた手品では,箱を2つ使っていました。ですが,箱が1つでも,その手品をできないことはないのです。もう1つの箱は,オプションか何かで,商品にはセットになっていないものなのだろうなと,解せないものを感じながらも無理に納得し,そのままにしていました。しかし,説明も何もなかったことは明らかにおかしいわけです。本当は,このときにお店に連絡をするべきだったのでしょう。
この年の暮れに,またこの店を訪れました。例によって,あれこれと相談して買うものを決め,お会計をしていました。
そこで,ふと手品ショップの棚を見ると,以前に店長さんがウサギの手品を見せてくれたときには使っていた2つ目の箱がポツンと寂しく置かれていました。聞いたほうがいいのだろうなと思い,それとなく,切り出してみました。
「前はウサギの手品を買ったんですよ。」と。
すると,店長さんが驚いたような表情で,「えっ,それ,どんなの?」と尋ねてきます。
説明をすると,「ごめんなさいね。あのとき,箱を1つ渡し忘れていて…」と。
店長さんは,ずっとそのことが気がかりだったそうです。渡し忘れたことに責任も感じ,お客さんから電話がかかってこないかなあとも期待をしつつ,それでもどうしようもないとあきらめかけていたそうです。
大変にほっとした表情で,また悩みが解消した晴れやかな笑顔で,
「よかったー。これで年が越せる。」とおっしゃっていました。
私は,あれこれお店に文句を言うようなことは避けています。しかし,今回のケースは,そのことで逆にご迷惑をおかけしたようです。なかなか難しいものですね。
年末になると,いつもこのウサギの手品を思い出します。
では。