志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

メンデル

こんにちは。

 

中学3年生で「遺伝」について勉強します。

メンデルがエンドウを使って実験したことで知られています。

 

「丸い」豆ができるものと「しわ」のある豆ができるもの,「緑色」の豆ができるものと「黄色」の豆ができるものなどがあり,遺伝によってそれが説明できます。

 

先日,障がい者を「安楽死」させるという悲惨な殺人事件が起こり,さまざまな議論が交わされているようです。

事件の被疑者の男性は,いわゆる「優性思想」のようなものを持っていたと報じられています。障がい者や高齢者は社会には不要である。したがって殺してもいいし,それが本人や社会のためにもなると考えていたようです。

極めて独善的であると感じましたし,『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフのようであるなと思いました。

 

私自身は安楽死にも死刑にも反対の立場です。生を受けたこと自体がある意味で奇跡です。その生を人間の一存で奪ってしまうことには抵抗を感じます。キリスト教的な価値観に近いですね。

 

さて,はじめに話題にしたメンデルの遺伝の法則では,「優性」と「劣性」について学びます。異なる純系の形質同士を掛け合わせたとき,子どもにその形質が現れるほうが「優性」,もう一方が「劣性」となります。

これは当然ですが,遺伝的に優劣をつけているだけであって,その形質自体の優劣を判断できるものではありません。

たとえば,人間の血液型でも,「A型」や「B型」は「優性」で「O型」は「劣性」です。遺伝的に血液型がどう決まるかで「優性」,「劣性」と言っているだけであって,「O型」の人間が劣っているということにはなりません。

学校で,こうしたことをきちんと教えなければ,いじめなどの問題につながりかねません。

私が中学のときには「優性」,「劣性」と教わりましたが,今の教科書では「優性形質」,「劣性形質」と表記されています。こうしたことへの配慮なのでしょう。

 

今回の被疑者の方は医師ですので,こうした遺伝についての知識がなかったとは考えにくいです。それでもおかしな「優性思想」をもってしまったことを残念に思います。

 

これからの時代には,文系,理系の分野を問わず,幅広い知識を身につける必要が出てくるでしょう。「教養」とか「リベラルアーツ」というものですね。それがないと,誤った方向に進んでいく危険性がありますし,AIが高度に発達した社会では取り残されてしまうでしょう。

 

では。