志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

遺跡と観光

こんにちは。

 

東京に住んでいた頃,年に1度くらいでしょうか,青森県に旅行に行っていました。新幹線に乗れば4時間で着きます。そんなに遠くはありません。お気に入りの旅館なんかがありました。

 

北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産登録を目指しており,イコモスによる調査が始まったそうです。一番有名なのは三内丸山遺跡でしょう。ここにも何度も訪れています。最初に行ったのは2000年ころだと思います。今のような立派な建物もなく,手作り感のある親しみやすい施設でした。それが,ものすごいお金をかけた立派な博物館のように建て替わったのはいつだったでしょうか。

 

昔は,たとえば火おこしの道具が置いてあって,実際に使ってみることができたり,来訪者との距離が近い施設でした。さらには,歴史ファンならご存知の方が多いであろう「縄文ポシェット」という有名な編み物が展示されていたように思います。今は展示されておらず,見ることはできません。

観光地として整備する意図なのでしょうが,私は古い時代の施設のほうが好きでした。観光客が多いかという,そんなことはなく,いつもまばらです。施設を立派にしたことがうまくいっていないのでしょう。

 

世界遺産登録を目指す遺跡群の中の1つに亀ヶ岡遺跡があります。遮光器土偶という教科書によく出ている土偶が出土した遺跡です。

この遺跡には1度だけ訪れたことがあります。地元の小中学生などが来るのでしょうか。観光地というよりも地域の文化施設のような印象でした。

展示館に着くと,中は真っ暗でお休みなのかと思いました。事務室にだけ電気がついていて,私に気がつくと,観光客が来たことに驚いた様子で館内の電気つけ,対応してくださいました。

ほとんどお客様がいらっしゃらないのでしょう。世界遺産に登録されて,観光客が増えることを期待する気持ちはわかります。ちなみに,有名な遮光器土偶はここには展示されていません。上野の東京国立博物館で見られるはずです。

 

これらの遺跡が世界遺産に登録されたとして,一時的には観光客が増大するはずです。しかし,ブームはすぐに過ぎ去ってしまうでしょう。遺跡には,文化財の保存や教育,観光の振興などさまざまな役割があります。コロナで観光が打撃を受けていますが,永続的に遺跡が維持できるような工夫やシステム作りが必要だと感じています。

世界遺産が増えることはうれしいのですが,単純な問題でもないように思っています。

 

では。