こんにちは。
私は20代の頃は,それこそ学習塾とは比較にならないくらいの大きな企業に勤めておりました。研修も充実していましたので,ビジネスマナーについても叩き込まれました。
名刺交換をするとき,「正しいやり方」で行うと,相手の方もわかっている方だと,お互いににこりと笑顔で無言の会話を交わすことがあります。しっかりされた方ですねと,互いに確認をして安心するような感じでしょうか。
塾の先生になってからも,こうしたことはたまにありました。名刺交換だけである程度の信頼を得られます。
今でも,見様見真似で名刺交換をしているなあとか,敬語の使い方がおかしいなあとか,そうしたビジネスマナーが少々欠けている部分に細かに気がつきがちです。
しかし,マナーや敬語というのは,それこそ何が「正しい」か正解はないと思っています。大切なのは気持ちだからです。
以前にこんなことがありました。
渋谷の駅前だったと思います。明らかに困っている感じの外国人の方に声をかけられました。
しかし,少し話してみてこれは参ったなと思いました。日本語も片言でほとんど話せないのですが,英語もほとんど話せないのです。片言の英語と日本語,身振り手振りなんかを解読していくと,どうやら財布を落としたらしいことがわかりました。たぶん宿泊していたホテルでもあるのでしょう。○○駅まで行きたいし,そこまで行ければ大丈夫という様子でした。
品川か東京かそのあたりの駅だったと思うのですが,山手線に乗れば簡単に行くことができます。その方にキップを買ってあげました。小銭がなかったので千円札で買ったのですが,何かあったら困るだろうと思い,釣銭も全部渡しました。改札口まで一緒に行って,このホームの電車に乗りなさいと身振りで伝えたのでした。
その外国人の方は,差し出した両手で私の手を押し頂いて,ものすごく感謝されている様子でした。そして片言の日本でお礼をおっしゃいました。
「オオキナ オセワニ ナリマシタ」
これなど完全に日本語を間違えていますが,気持ちはよく伝わりますね。
もちろん,正しい敬語,正しい日本語,正しいマナーなどは大切ですが,一番大切なのは気持ちでしょう。
敬語の誤りが指摘されることも多いですが,本質はそこではないような気がしています。
では。