こんにちは。
お休みの間,ふとしたことがきっかけで,『将棋の子』(大崎善生著)という小説を読み直しました。この本も,これでたぶん読んだのは5回目くらいでしょうか。
関口勝男先生,池辺龍大さん,加藤昌彦先生など,実際にお世話になった方,お会いしたことがある方もたくさん登場します。
そんなこともあり,何度読んでも泣いてしまいます。
どのような内容かというと,将棋のプロを目指していたものの,プロになれなかった方たちの物語です。プロ棋士になるには,奨励会という育成機関で勝ち上がり,四段に昇段する必要があります。
まず,奨励会に入るだけで,田舎の県の県代表(もちろん大人の部です)くらいの強さは必要です。10歳~15歳くらいで奨励会に入ると,ふつうは6級からスタートします。全国から集まる天才たちに混じり,四段まで上がると晴れてプロ棋士となれます。
奨励会に入会した天才の中でも,プロになれるのは1割~2割程度といわれる厳しい世界です。
この小説では,プロになれずに敗れ去って行ったさまざまな奨励会員を,札幌出身の成田英二さんのお話を中心に紹介していきます。
藤井総太先生のご活躍などで注目され,華々しい印象がある将棋界ですが,厳しい競争があり,たくさんの屍が累々としている世界だということもまた事実でしょう。奨励会を抜けられなかった方は,ずっと将棋しかしてこなかったのに,突然に25,26歳くらいで夢を絶たれるわけです。地獄に突き落とされるようなものでしょう。
仮にプロになれたとしても,勝てなければ食べていくことはできません。藤倉勇樹五段はまだ42歳ですが,次の対局で引退となることが決まっています。将棋しかしてこなかった妻子ある42歳の男性が,突然無職となるようなものです。あまりに残酷な現実です。
主人公の成田英二さんですが,教室の近くの中島中学校のご出身です。
プロを目指した成田さんのように,子どもたちにも高い目標をもって飛び立っていってほしいです。そして,夢をかなえてほしいものです。
では。