志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

30年後のごめんなさい

こんにちは。

 

中学1年生のときの担任の先生が,近くの中学校で教鞭を取られていると知りました。定年退職後に非常勤でつづけられているのだと思います。

こちらの教室の生徒さんの中には,中学校でその先生に数学を習っている方もいらっしゃいます。昔の担任の先生と,ペアを組んで生徒さんを教えているような,不思議な感覚にとらわれます。

 

さて,その先生ですが,中学1年生の私たちに次のようなお話をしてくださいました。

たぶん覚えているのは私だけなのですが,そのお話が実に興味深い内容でした。

1つはアキレスと亀のお話。

実際は中1にもわかるようにもう少し簡単にして,微分や無限級数についてお話してくださいました。後年,大学のテキストに同じ話が出ているのを目にして,あっ,これだ!と驚いた思い出もあります。

もう1つは球面上に円を描くお話。このとき,三角形の内角の和は180度になりません。

 

こんな数学の難しい話は,その瞬間には何となくおもしろいなと感じても,すぐに忘れてしまうものです。しかし,1人だけは覚えていて,今も数学を楽しいと思っているのですから,それだけでもこれらのお話には大きな価値があったことでしょう。

 

さて,私も数学の時間には,難しいお話をすることがあります。

中3には有理数無理数を教えます。数の分類のお話なのですが,「まず,実数と虚数があります」と虚数単位「i」(iを二乗すると-1になる)についても触れます。覚えなくていいけど,高校で習うよ程度ですね。

 

中1の正の数・負の数では,-どうしをかけると,どうして+になるのか説明する必要があります。

複素数平面があり,「i」をかけるごとに90度反時計回りに回転する,というような内容を,理解できなくていいから,イメージをしてほしいとお話しています。

その上で,「i」が2回,-をかけると180度回転するねと,-を1回かけるごとに180度回転して符号が変わることを説明しています。

 

難しいし理解できないけれど,面白そうだなと感じてくださる生徒さんもいらっしゃるでしょうし,いきなり180度回転させるよりも,90度ずつ回転させたほうが,回転するイメージを描きやすく,理解も進みやすいと思っています。

 

数学に限らず,本質的なお話をしたほうが,理解しやすいでしょうし,これから先の学習にとっても役立つと考えています。

 

実は,中1の担任の先生には,謝罪しなければいけないことが1つありました。

具体的に,これこれしてしまいました,申し訳ありませんでしたと書いても,そんな事実はおろか,私のことすらあちらは覚えていらっしゃらないでしょう。

そこで先日,お礼とともにやんわりと謝罪を述べるお手紙を差し上げました。心のつっかえがひとつ取れたような爽やかな気持ちです。

 

では。