こんにちは。
日曜日に『「学力」の経済学』(中室牧子著,ディスカバー携書)を読みました。
子どもの学力とかける費用に関して,私が経済学部の学生だった2000年頃には,「親の学歴が高いと,親の所得も高く,子どもにかける教育費も多く,また遺伝的に能力が高く,子どもも高い学歴を獲得する傾向がある。それが何世代も繰り返されていて,日本は見えない格差社会になっている。」
と,ほぼ結論が出ていると言われていました。
したがって,教育経済学という学問がこれほど進歩していたのかと,この本を読んで驚きましたし,自分の不勉強を恥じました。
(上記の結論が覆されているわけではなく,その上でどのように教育の平等を実現するか,どのような資源の投入が教育には有効か,科学的に実証している内容です。)
このブログもそうですが,多くの教育論は,個人の経験にもとづいて意見が述べられています。私の場合には,約20年にわたり,何千人もの生徒さんを見てきた経験ですし,ひどい場合には,数人の子ども育てた経験がもてはやされること(子どもが全員東大に進学したなど)も,自分一人だけの経験を語るインターネットの教育動画が人気になることもあります。
そうではなく,教育にも科学的根拠が求められると本書では訴えています。
そうすれば,国の教育政策も,有効にお金を使って高い効果を得られるのではないかと。また,個人の子育てについても,どのような方法が効果的かわかるのではないかと。
わたしが経験的に正しいと信じていたことの大部分は,科学的にも正しいようだとわかり,安心したと同時に,勉強すべきこと,反省すべきことも多いなと感じております。もう一度読んでみて,生かせるところは取り入れていくつもりです。
やはりそうだったのかと感じたのは,「勉強しなさい」と子どもに言っても無意味だし,ときに逆効果となること,非認知能力(勉強以外の人間力のようなもの)は大切であるし,それを培う部活や課外活動なども大切にすべきだということ,…などです。
子どたちが日々学んでいるように,わたしも学びながらよりよい教室にしていこうと,考えております。「教えるものは,教わるものの3倍の努力が必要」という初心を思い出させてくれました。
では。