志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

事件について思うこと

こんにちは。

登戸の事件につづき,また痛ましい事件が起こりました。
元官僚トップによる息子さんの殺害事件です。いろいろと複雑な事情があったようで,被害者の男性を悼む気持ちがあると同時に,加害者の方への同情も禁じえません。
おそらく,こんな家庭環境だったのだろうな,それが被害者男性の引きこもりの原因の1つにもなっているのだろうなと,事件を聞いて想像していたのですが,マスコミなどにより明らかにされた情報によると,ほとんど想像通りのようでした。

一部の報道やインターネットの記事などを見たものですので,まだ,情報の信憑性には疑問符がつくところがあるのですが,被害者の男性は,東京では御三家と並び称される名門の中高一貫校を卒業されているようです。
東大のそばにある学校で,東大合格者も数十名に上ります。今年の初めに,不倫やパワハラなどの不祥事が報じられたこともありましたが,間違いなく超名門進学校ではありますね。

被害者男性は,おそらくご両親から厳しく勉強について指導され,努力して名門校に合格されたのだと思います。
中学受験については,私も以前に「借用証」という記事で書いたことがあります。被害者男性や私たちの年代だと,ほとんど虐待に近いような扱いを受けていたことも珍しくありません。この記事もあわせて読んでいただければ,中学受験をする一部のご家庭の空気感がわかっていただけると思います。

「借用証」

被害者男性も,勉強をしなかったときに大切にしていたおもちゃを壊されたとか,そうした仕打ちを母親から受けていたようです。それで,母親を恨むようになり,さらに18歳のときには精神の病気に罹患したのではないかと,(学校でのいじめもあったようです)一部のインターネットの記事には出ていました。
勉強ばかりを優先してしまったために,親子関係や,ひいてはご本人までもが思わしくない状態になってしまった悲劇の1つではないかと感じました。

勉強することの価値を否定はしませんし,それはすばらしいことではあるのですが,勉強が唯一絶対であるような価値観を子ども強要してはいけませんね。
また,やはりほめて伸ばすことが大切だな,と改めて感じました。
「努力する」→「成功する」→「ほめられる」→「(脳の作用として)快感を覚える」という経験が,子どもたちを勉強に向かわせていくという要素はあるでしょう。読み聞きしてかじった程度の知識ですが,「快感を覚える」という脳の作用は,ゲームで得られる快感,薬物で得られる快感とほとんど同じ作用だそうです。ただ,大きな違いは,ゲームや薬物だとその快感がいとも簡単に得られることでしょう。
当然,ほめられた経験が少ない方のほうが,その快感に対しての耐性が弱く,ゲーム依存症や薬物依存症に陥りやすいように思われます。

被害者男性はオンラインゲームのドラゴンクエストを病的なまでにやりつづけていたようですが,もしかすると,罵倒され叱られながら勉強をつづけ,ほめられた経験などほとんどなかったのかもしれません。そんな生い立ちを思うと,やるせない悲しい気持ちになります。
今回加害者となった父親でも,学校の先生でも,ほめて認めてくれる存在に出会っていたとしたら,被害者男性の人生も違うものとなっていたのかもしれません。結局は,ネット社会の中にしか居場所を見つけられなかったのでしょうが,認めてくれる存在は現実社会に居場所を提供していた可能性もあります。
ほめる,認める,もうひとつ加えるなら信じること,子どもには,それらが不可欠であると改めて考えさせられました。

では。