志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

ロハ

こんにちは。

先日,こんなことがありました。
夜,最終のバスを待っていました。バスというのは数分遅れるのが常です。いつものことながら時間が過ぎても来ないなあと思っていると,ちょうどバスがやってきました。しかし,「回送」のバスで,あら残念と感じると同時に,様子がおかしいことにも気がつきました。雰囲気が回送のバスではなく,営業をしているような様子なのです。
このバスは私の待つバス停に停まり,中にもお客さんが乗っていましたので,表示が間違えているのだなと,そのバスに乗り込みました。

私と一緒にバスに乗った方が,すぐに運転手さんに行き先を確認し,表示がおかしいことを伝えたようです。
運転手さんは,あわててバスの設定や表示を修正されていました。
似たような経験が以前にもありました。札幌のバスでは多くの方がICカード(SAPICというもので,東京のPASMOSUICAみたいなものです)で乗車されるのですが,バスを乗るときにタッチをするとカードに乗車記録がなされ,また降りるときにタッチすると自動で料金が計算されてカードから引かれる仕組みになっています。しかし,途中でバスの設定を修正すると,ICカードの乗車記録と降りるときの設定が対応せず,エラーが出ます。たまに,カードをタッチせずに乗車される方がいらして,運転手さんがいちいち料金を手動で設定し,引き落としをかけています。
バスには20人くらいの方が乗っていたでしょうか。今回もそんな感じで,一人ひとり手動で設定しながら乗客を降ろしていくのだろうなと,そう思っていました。

この運転手さんがどうされたかというと,設定を間違えたのでと説明し,みなさんを無料で降ろしたのでした。これが正しい対応かどうかは意見が分かれると思います。ただ,一人ひとり手動で行うと時間がかかります。一人につきほんのわずかずつの時間でしょうが,みなさん,早く帰宅したいであろう最終のバスです。マニュアルには絶対にこんな対応をしなさいとは出ていないでしょうが,この運転手さんの対応を評価される方が多いかもしれません。

私はどうしたかというと,ICカードをタッチして乗車したのですが,無料で降ろそうとする運転手さんを遮って,お支払いします,ありがとうございましたと伝え,現金で210円を支払って降りたのでした。
タダだ,ラッキーと思うのが当然ではあると思います。しかし,たかだか210円のために不正をしたくはないし,そのあとに後ろめたい気持ちになるのも嫌だと考えるのが私です。基本的に小心者なのでしょう。「幸運」の総量は決まっていると考えているところもあり,こんなくだらないところで「運」を使いたくないという気持ちもあります。

運転手さんも乗客も,どうするのが正解なのか,それは一人ひとりの考え方,生き方の問題で,正解はないでしょう。ただ,受験生のみなさんで,信じても損はないかもしれないなということをお話しすると,「幸運」の総量が決まっているとすれば,変なところで「運」を使わずに,受験本番までとっておいたほうがいいかもしれません。また,推薦入試の面接や集団討論で,こんなときにあなたならどうしますか,と問われたときに,あなたは「はい,喜んでタダで降ります。」と答えるでしょうか。うわべの答えだけ取り繕っても,中身がともなっていないと面接ではうまくいかないものです。この例に限らず,人物としての中身を成長させることは有意義なことであるでしょう。

では。