志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

奪回

こんにちは。

あまり政治的なことは書きたくないのですが,これはあまりに酷いので,おそらくほぼすべての方が否定的にお感じになったでしょうから,書いてみようと思います。
ある国会議員さんが,「北方領土は戦争して奪い返すしかないのでは」という発言をなさり,批判をされていますね。
この方,東京大学を卒業されているそうです。
東大に限らず,最近だと女子高生を違法に働かせていた慶応大学の方が逮捕されたとか,しばしば高学歴の方が,なぜ頭がいいのにこんな常識的な判断もつかないのだろうかという犯罪なり問題行為をおこして報道されることがありますね。

ここ数日,偏差値や学歴という指標について,必ずしも肯定的ではないことを書くことが多かったので,今日は少し補足しようと思います。
こうした報道がどれだけつづいても,こうした一流大学に入ろうとする方は減ることはありませんね。これは,学歴という価値が世間的にも一定程度認められて,それ故に社会でも有用であることを示していると思います。
人の能力,価値というのは,さまざまな面からはかることができるでしょう。学力や偏差値というのもその1つですし,まだまだ影響力が強いということも,みなさんご承知だと思います。一流大学に入ったならば,有形・無形にさまざまな恩恵があるでしょう。大学から実社会や大学院などへと進んでいくときに,学歴は1つのパスポートのような役割も果たすでしょう。
ただ,実社会では,これだけでは通用しませんよ,さまざまな指標の1つにしか過ぎないのですよ,ということを言いたかったのです。

つまり,今回の議員さんのように,学歴以外の部分の「人間力」みたいなものも鍛錬しておかないと,とんでもない非常識なことをしでかしてしまう可能性はあるのかもしれません。つまりは,バランスが大切でしょう。これからは,AIがどんどん進化していきますので,このバランス,知識面でいうとリベラルアーツ,まさに知のバランスですね,これらのものがより重要になってくると思います。

冒頭の北方領土に関する発言,似たようなことをどこかで聞いたことがあるなあと考えてみて思い出しました。
20年近く前のことです。ふらっと知らない居酒屋に入りました。東京都郊外のある駅前の繁華街のはずれ,住宅地の入り口にひっそりと佇む小さな店でした。
入ってみて,ちょっと店の雰囲気がおかしいことに気がつきました。なんとなくガラの悪そうなお客さんがいらっしゃり,壁にはいわゆる右翼団体のものと思われるカレンダーやポスター(ほとんどアジテーションのビラみたいなもの)が貼ってありました。まあ,そういう方たちが集まるお店だったということです。ボッタクリではなく,お会計は普通でした。

たぶん人生の中で歴史を勉強していて一番役に立ったのがこのときでしょう。
話を合わせて「大東亜戦争では…」とか「シナでの皇軍は…」とか,わざと「そういう言葉」を選んで話をして,君は若いのにえらいなあ,などとお客さんたちにも気に入られて,頃合いをみて逃げ帰ってきました。
そのお店で,お客さんが,「北方領土を"奪回"するんだ」というお話をされていたのを覚えています。「奪回」って戦争で取り返すことだよな,と酔えない酒を飲んで頭をフル回転させながら話を合わせていたのでした。ちょうど,北方領土の日が近く,今年も街宣車に乗って「活動」をされるとおっしゃっていたように思います。

あの議員さんも酔っぱらっていたそうですし,議員さんの発言は,このいわゆる右翼団体の方が居酒屋で酔っぱらって話していらしたこととまったく変わらないと感じたのでした。東大は出ていらっしゃいますが,人間のレベルとしては,どちらも同程度なのかもしれませんね。
なんだか,悲しい気持ちになります。

では。