志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

ヒト

こんにちは。

今日は教室に来る前に,藤井総太七段と堀口一志座七段の将棋がインターネットで中継されていたのを見てきました。
一言,非常に悲しい気持ちになりました。

最近,身の周りで,心の病気に罹患される方が増えています。
学習塾の会社にいたときでも,心の病気で長期間の休職や退社を余儀なくされた同僚が少なくありません。
先日は,統合失調症で療養中だという大学の後輩から10数年ぶりに連絡がありました。
以前に書きましたが,私自身も精神科の先生にお世話になったことがあります。幸いなことに,確認脅迫のごく軽い症状で,すぐに治りましたが。
また,ニュースなどで見聞きすることもすごく増えましたね。

現代人は忙しすぎるのではないかと思っています。
とくに,二度のオイルショック以降,その傾向が顕著ではないかと,何かの本で指摘されていました。
「♪24時間戦えますか?」というCMソングが流行したのも丁度1980年代です。

最初の人類が発生したのが700万年前だと言われています。「愛・地球博」で展示されて話題となったサヘラントロプス・チャデンシスですね。ちなみに一部の中学歴史教科書には載っています。猿人ですので,ほとんど猿に近い感じで,簡単な石器(礫石器)を使用したものの,言葉や火はまだ使用していません。このあたりの歴史にはあまり詳しくはないのですが,おそらく日が暮れたら寝ていたでしょう。
言葉を獲得し,火を使用するようになったのが原人で,発生したのは260万年前だそうです。多少は暗くなってからも見張り役の人が起きていた可能性はあるでしょう。ただ,基本的には暗くなれば寝ていたと思います。
日が昇ったら起きて,日が暮れたら寝る,そんな日々がずっとずっとつづいていたでしょう。
ものすごく長い時が過ぎ,灯油(現代的な意味ではなく,ランプ用の菜種油など)が広く普及し,夜の間も何らかの作業をするのが一般的となったのは,おそらく江戸時代ではなかろうかと思います。それでも,現代と比べるとすっと睡眠時間は長かったでしょう。

多くの人が寝る時間を削ってまで働いたり勉強したりするようになったのは,ほんの最近,ここ40年くらい,江戸時代から考えても,たかだか300年くらいのことになります。人類の長い歴史を考えてみると,700万年近くの間,我々は日が暮れたら眠るような生活,もしくはそれに近い状態で過ごしていたのが,つい最近になって極端に忙しくなって眠らなくなったとは考えられないでしょうか。700万年に比べれば,数百年などほんの一瞬です。
こう考えると,生物としての「ヒト」にとって,現代人の生活は無理があるようにも思います。これでは,精神のバランスを崩すヒトが現れるのも無理がないように思います。

勉強をがんばるべきだ,仕事をがんばるべきだ,より高い地位を目指すべきだ,より高い賃金を求めるべきだ,世間的に高評価を得るべきだ,…と,強迫観念にも似た価値観がまだまだ社会には蔓延しているように感じますが,もう少し大らかな気持ちで,多様な価値観を認めることが大切かもしれません。もしも,何らかの異変を感じた場合には,自分の体を第一に考え,思い切って休むだとか,給料は安くても楽しくて負担の少ない仕事に転職するであるとか,それが賢明な判断であるでしょう。
身近な体調を崩してしまった方たちを見ていると,良い意味でも悪い意味でも真面目で,先ほど挙げた価値観の下にがんばりすぎてしまう傾向があるように思います。

どなたかがおっしゃっていたことですが,動物は危険を感じたら逃げます。ヒトだけは危険を感じても,逃げることは卑怯だとか考えて,その場で踏ん張ることが多いように思います。ヒトが逃げなくなったのも,700万年の歴史の中ではつい最近のことですね。

では。