志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

「思考力」で解ける問

こんにちは。

2022年北海道の高校入試について,北海道教育委員会のHPには何も出ていません。
新聞報道でしか情報を得られていないわけですが,大切な情報なのですから,広く情報公開をすべきだと思います。

情報公開であるとか,透明性であるとか,そうした点については東京都のほうがずっと進んでいます。さらにいえば,入試制度や検査問題についても,良くも悪くも東京都が全国の先取りをしていて,他の道府県がそれを追いかけているようなところがあります。

今回,2022年から北海道の入試は「思考力・判断力・表現力を問う問題を増やす」という方針に決まったと報道されていますが,この「思考力・表現力」というのも,東京都の高校入試では早くから取り入れられていました。
どういった問題が増えるのか,なかなか見えにくいところもありますので,「思考力・判断力」を問う問題の例を挙げてみようと思います。
私の専門は社会科ですので,社会科から2つ拾ってみました。ちなみに,Z会の通信教育の映像授業に出ていたこともあります。(もしかすると今も使われているかもしれません?)

まず,2014年都立高校入試大問3問3です。(東京都教育委員会HPより)
イメージ 1

この問題ですが,ほとんど知識を使いません。
Ⅲの文章を読み取って図表と見比べれば答えに近づけます。
Ⅲの文章で,「2010年における貿易総額は約3600億ドル」とあります。Ⅰの略地図では②か③が当てはまるとわかります。またⅢの「イスラム教を信仰している人々の割合が多い」という記述から,②のマレーシアだと判断でき,ここでは知識が必要になります。現実的には③のタイが仏教国であるので消去法で②を選ぶことになるでしょう。もちろん,他の部分から知識を使って答えを導くこともできます。
さらに,Ⅲには「「2010年における貿易総額は約3600億ドルで,そのうち輸出額は5割を超えている」とあります。ここからⅡの表では,イかエが正解とわかります。ほかにⅢでは「1990年と2010年を比べると,この国からの日本の輸入額は約2.5倍に増え」,「現在は液化天然ガスの占める割合が高い」などから,簡単に「イ」が正解とわかります。
ほとんど知識は使わず,思考力や判断力で解けましたね。イについては知識なしで選べました。

もう一つ,東京学芸大学附属高校の2014年の社会科の問題です。図はmanaviさんからお借りしました。
manavi

こちらも知識なしで解けますので考えてみてください。
イメージ 2

まず,写真(ここでは絵ですが)は「滝」だとわかります。ナイアガラなのですが,知らなくても解けます。「滝」とさえわかればいいです。
そして表1には「水面標高」が書かれています。「オンタリオ湖」だけ水面標高が低く,図1とあわせて考えると,この湖に滝が流れ落ちていることがわかります。
さらに,図1の地図に「面積が正しく表される」と注がついています。
表1に「湖の面積」も出ていることがポイントです。加えて表1には「周囲の距離」が載っています。面積が広くなくても,形が複雑だと周囲の距離は長くなります。
ここから,もっとも東にある湖がオンタリオ湖だとわかり,④が正解とわかります。

さすがに,2つ目の学芸大附属の問題は,国立大附属だけあってかなりひねった難しい問題です。こんなに難しいものが公立高校入試で出るとことはほとんどないでしょう。
1つ目の都立の問題ですが,問題のパターンによっては,同じような形式で知識なしで解けるものもあります。こういったタイプの問題が増えるような気がします。

2つの問題を解いてみるとわかると思いますが,機転の利く子,頭の回転が速い子,文章を正確に読んで必要な情報を抽出できる読解力の高い子が有利になります。こうしたタイプの子でなくても,きちんと練習を行えば解けるようになっていきます。
ただし,北海道の2022年入試には過去問が存在しません。どんな問題を選んで演習を行わせるか,各先生方の腕の見せ所であるとも思っています。

では。