志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

落ち着いて取り組める環境

こんにちは。

勉強をしなさい,がんばりなさいと,いくら言っても効果があまりないことがあります。
一言でいうと,安心して,落ち着いて勉強ができる環境が整っていない場合も少なくないように思います。

私の場合ですが,高校3年生のとき,両親が怒鳴っている声が自室に響いてくることがよくありました。今もそうですが,両親ともに短気ですぐに怒鳴ります。両親がケンカしているのかなあと,そんな心配をする状況で,果たして集中して勉強ができるでしょうか。

ちなみにですが,先日,「教育格差」という記事を書きましたが,こんなこともありました。当時,親からこのように言われたことがあります。これは間違いなく人生の中で両親から言われたことの中でもっとも悲しかったものです。
一橋を受けたいと言った自分に対して,「ダメだ,北海道大学に行きなさい」と。成績が悪いから安全な学校を狙いなさい,みたいな意図ならわからなくもないですが,模試はほとんど全部A判定でした。結局は許してもらったのですが,この日は勉強などできるはずもなく,一晩中泣いていたのを覚えています。のちに,成績が上がって,勝算は高くないけれど東大を受けたいと言ったこともありますが,こちらは許してもらえませんでした。さらに,大学入試のときには,滑り止めの私立大を受けていません。通わせてくれるはずもありませんでしたので。
恵まれた環境(ご本人はそう感じていない場合が多いでしょうが)にいらっしゃる方にとっては,いろいろと信じられないような話だと思いますが,それだけ教育格差は大きいということでしょう。
また,こんな状況で,普通は勉強に身が入るわけがないとも感じます。ただ,私の場合には,お恥ずかしい話ですが,両親への反発,一言でいえば,こんな家出て行ってやる,という反骨精神?で勉強したのですが。

ご家庭の雰囲気がよくないという以外でも,安心して勉強ができない環境というのはあるでしょう。
親戚の多くが名門校を出ている中,自分だけあまり勉強ができるほうではなく,自分の立場を窮屈に感じているというのもよく耳にします。周囲はプレッシャーをかけているつもりはなくても,ご本人が感じていれば,それは安心できる環境とはいえないでしょう。
親御さんの意思だけが尊重されていて,子どもが自分の意見を言えない,言っても聞いてくれるはずがないからとあきらめているような状態も少なくないように思います。こんな子どもたちが,果たして前向きな気持ちで勉強ができるでしょうか。

もちろん,ときには勉強をがんばりなさいと,叱ることや励ますことも必要でしょう。ただ,大らかに,子どもたちを信じて見守るような視点も必要かもしれません。安心できる環境,落ち着いて何かに取り組める環境がないと,励ますことも効果を発揮しないかもしれません。対症療法のような手段だけではなく,バランスを整える漢方薬のようなものも人間にとっては必要でしょう。また,今は勉強を頑張れない子どもたちでも,時期が来れば,必要に迫られれば,自然と勉強に向かってくれることも多いのだと思います。

では。