こんにちは。
先日,ある仏教の儀式に参加する機会がありました。その儀式を取り仕切っていたのは真言宗のお寺でした。同様の儀式には何度か参加したことがありますが,真言宗の形式のものははじめてでした。
真言宗は,平安時代のはじめに空海によって開かれた宗派です。空海とともに遣唐使船で唐に渡ったのが最長で,最長は天台宗を開いています。修学旅行で中尊寺を訪れた方も多いでしょうが,この中尊寺も天台宗のお寺ですね。
空海は,唐で当時最新の仏教であった密教の奥義を伝授され,帰国して真言宗を開くことになります。密教の「密」とは「秘密」と関係があり,密教の教えが書物として示されることはなく,口伝によって伝えられています。その儀式も神秘的な雰囲気のもので,平安時代の貴族たちを魅了したことと思います。
真言宗の儀式に参加し,少しだけですが,その世界を経験することができたのは,貴重な体験でしたし,思いがけない幸運だったなと感じております。
さて,『阿・吽』というマンガがあります。最長と空海を主人公としたおかざき真理さんの作品です。
マンガですからフィクションである部分も多いのですが,丹念に史実を調べながら描かれた形跡もあります。こうした作品を読んだことがあれば,最長と空海,密教などに関する理解も深まり,学校で仏教について学ぶときでも,楽しく学べるのだろうなと感じました。
小中学生の頃の私は,奈良時代に聖武天皇が国を平和にするために仏教を導入したと教わり,(仏に祈ったところで何も変わらないのに,なんて馬鹿なことをしたんだ)と,正直に心の中でそう思っていましたし,仏教を導入した理由が理解できませんでした。
しかし,このマンガを読んでいれば,当時の仏教の位置づけがどのようなものであったか,どうして人々が仏教に期待したのか,時代背景が理解できるかもしれません。
『阿・吽』というマンガを例にとりましたが,ふだん浸かっているご家庭や学校の文化の中で,こうしたものに触れた経験が多いと,それだけ勉強も得意になっていくでしょう。
しいて勉強になりそうなマンガを与えたところでうまくいくわけではなく,自然と子どもたちがこうしたものに触れていくような文化圏というものは確かに存在しています。
では。