こんにちは。
このようなニュースを目にしました。
囲碁は詳しくはないのですが,イ・セドル九段は私でも名前を知っているようなトップ棋士です。36歳の若さです。
それが,AIに勝てないことを理由の1つに挙げ,引退をされたそうです。
私は,プロ棋士と比べれば,将棋はめちゃくちゃ弱いのですが,なんとなくイ九段の気持ちを推し量ることができます。
そのゲームの真理をすべて解明したい,囲碁や将棋について,もっともっと多くのことを知りたい,それはイコール強くなることでもあるのですが,そうしたあくなき探究心,好奇心が原動力となっていることが多いように思います。
羽生九段の将棋を見ていても,勝つことよりも真理の追究を優先してきたように思います。タイトル戦などの大きな舞台でも,あえてリスクを冒し,未知の順,未開の境地に踏み込まれてきた印象があります。勝つだけを目的とするならこの戦法,作戦は指さないだろうなというものを何度も採用されたように思います。それが,長くご活躍される力の淵源ともなったのでしょう。
イ九段のことは詳しくは存じませんが,おそらくこのような気持ちで囲碁を打たれていたのではないかと思います。
もしも修行僧が,自分は絶対に悟を開けないと知ったら,修行を止めてしまうかもしれません。
イ九段もAIには絶対に勝てないことを悟り,また,AIのほうが進化のスピードも段違いに速く,努力しても追いつくことが不可能であるとも思い知らされ,囲碁の真理を究めることは不可能だと思い,囲碁に対する情熱を失われたのかもしれません。
将棋ではAIのほうがプロ棋士よりもはるかに強くなりました。
しかし,こうした崇高な理想をもつ人間同士の戦いは,その価値や面白さを失っていないように思います。ただ,本当にAIが強くなったとき,イ九段と同様に,そのゲーム自体に対する興味を失ってしまう人は出てくるかもしれません。
先日,囲碁,将棋とお金の話を書きましたが,AIの発達によっても,囲碁,将棋は大きな転換点を迎えているのかもしれません。
では。