志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

興醒め

こんにちは。

 

最近の将棋ブームやインターネットの発達によって,将棋をお手軽に観戦できるようになりました。多くのタイトル戦はABEMAというインターネットのテレビが中継してくださいます。もちろん無料です。

 

ひと昔前は,結果だけを知っているのを約1か月後に将棋雑誌を買って棋譜を並べてみたり,中継はあっても将棋の盤面だけが少しずつ更新されていくだけのものであったりと,今では隔世の感があります。

 

ABEMAさんは生中継ですし,プロ棋士の先生方が解説をしてくださいますし,対局場の様子もカメラがとらえていますし,本当に夢のような存在です。

 

このあたりは賛否両論あると思います。しかし,1つだけ中継を見ていて興醒めなのがAIによる評価値が出ることです。

たまに「羽生九段が勝率99%の局面で投了した」とか「藤井二冠が4%の局面から大逆転」とか,そんなニュースが流れますが,このパーセンテージが評価値です。

 

今では将棋AIは人間よりもはるかに強いです。インターネットの将棋中継では,AIが導き出したその局面での「正解」や,有利不利を示す評価値が表示されています。

悪い手を指すと評価値が一気に下がりますし,詰みがあると評価値は99%になります。

AIが示す「正解」の中には,人間が選ぶのは到底無理だと思えるようなものも稀にあります。一見,筋が悪いと感じる手も多いです。人間同士が真剣勝負をしている中で,高みから「正解」や「評価値」を示すAIの存在が,私にとっては勝負に水を差しているように感じます。

先ほどのニュースですが,羽生九段は詰みのある局面で投了されました。しかし,非常に難解な詰みで,秒読みの中で発見するのは羽生九段といえども無理だったのでしょう。仮に詰ますことができていたら「神の一手」などと評されたかもしれません。そんな「神の一手」もほぼ0秒でAIは発見して中継画面に表示させます。私には将棋中継の面白さが半減しているように感じられるのです。

 

しかし,私も将棋AIを使用しています。気になる将棋を入力すると,自分の将棋を「採点」してよいところ,悪いところを指摘してくれます。

こういうところは便利ですね。

 

ちょっと専門的なことを書きますので,将棋のわからない方は読み飛ばしてください。二枚落ちの銀多伝で下手が7五の歩をタダで取らせる順があります。昔から納得がいきませんでした。7八飛と守るべきではないかと。

先日,AIに聞いてみたところ,やはり飛車を7筋に回る手を推奨していました。ほぼすべての本には「歩はただで取らせろ」と書いてあります。これに関しては私のほうが正しかったとAIにお墨付きをもらったことになります。長年のもやもやした疑問が氷解しました。

 

どんなものでも一長一短あるということなのでしょうね。

では。