志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

中原中也

こんにちは。

 

中原中也さんに『一つのメルヘン』という有名な詩があります。

 

秋の夜は はるかの彼方に

小石ばかりの 河原があつて

 

という詩の最初の部分を聞けばわかる方も多いのではないかと思います。

なんとも幻想的で不思議な世界観です。メルヘンですね。

(お詳しい方だと,何か特別な解釈があるのかもしれません。)

 

詩は好きではありません。

しかし,この作品は気に入りました。確か,高校の国語の教科書に載っていたと思います。それで,文庫本になっていた中原中也詩集を買ってきてました。結局は全部は読まなかったと思います。やっぱりつまらなかった。高校生でカッコつけたい時期でもあります。背伸びし過ぎたのでしょう。それでも,背伸びしたことには意味があり,残るものもあります。

 

この詩集の中に『ゆきてかへらぬ』という詩が収められていました。

この詩に

「目的もない僕ながら 希望は胸に高鳴つてゐた」という一節があります。

いかにも青春時代,ぼんやりとしていて輪郭はなさないものの,確かに輝く未来があって,夢見ている若者の気持ちに重なります。

 

高校時代に愛読していた小説が,宮本輝さんの『星々の悲しみ』です。

すごく暗い色調の物語なのですが,当時はこの小説を読むと元気になりました。自分もがんばろうという気力がわいてきました。(今だと逆に暗い気分になるかもしれません)

あるとき,『星々の悲しみ』を読むと,その文庫版の巻末の解説で「目的もない僕ながら 希望は胸に高鳴つてゐた」という詩の一節が引用されていました。小説に登場する浪人生たちはこんな心情ではなかろうかと。

 

2つの別の作品が,自分の中でつながった瞬間ですね。

以来,この詩の一節はすごく気に入っています。さすがに今では「目的もない」というわけにはいきませんが,明るい未来は常に目指しています。

 

中高生だと,将来について明確な目標はなく,ただ何となく勉強して,何となく進学をして…という方も多いでしょう。

しかし,希望だけは持ちつづけてほしいですし,それが持てる社会にすること,身近な子どもたちに希望を持たせられるように努力することが大人たちの責務でもあるのでしょう。生徒たちと接しながら,そんなことを考えています。

 

では。