こんにちは。
かつては貸本屋というものがたくさんあったそうです。貸本屋とは,マンガや書籍をお金を払って借りるお店で,おそらく昭和の時代には数多くあったのでしょう。
私は,おそらく小説か何かに登場したのでしょうが,中学生か高校生くらいのときには貸本屋というものを知っていました。しかし,実際に見たことはありませんでした。
大学生になって上京し,はじめは学生寮に住んだのですが,なんとその寮の近くに貸本屋がありました。ものすごく小さな寂れた店舗で,なかなかに入りにくい雰囲気はありました。大学にはものすごい蔵書数を誇る図書館がありましたし,マンガを読む習慣はありませんでしたので,ついにその貸本屋には一度も足が向くことはありませんでした。
経営が成り立っていたのかどうか疑問でもあります。時代遅れの遺物をたまたま目にすることができたある種の感慨深さだけを今でも覚えています。
お店の名前は覚えていませんが,「ねぎし」とかそんな感じの個人名のような店名だったように思います。(飲食店の「ねぎし」さんではありません。)
それから2,3年後ですが,まさかと思う出来事がありました。大学の近く,住宅街のわかりにくい場所に,同じ店名の貸本屋があったのです。
なんとも驚きですが,その貸本屋はチェーン店だったらしいのです。
かつて,貸本屋が商売として成り立っていて,各地にあったことを証明しているようです。おそらく,今はどちらのお店もなくなっていると思います。
新宿にある将棋センターがつぶれるそうです。コロナの影響もあるのでしょう。現在の場所に移転する前は,奥で賭け将棋(違法です)をするアブナイ人たちがいたり,食事しながらビールを飲む人たちがいたりと,混沌とした前時代の遺物のような場所でした。
時代は新しくなっていき,古いものが消えていくのは当たり前のことではありますが,寂しさを感じます。
そのうち,将棋センター,将棋道場というもの自体が,貸本屋のように社会から消えていくかもしれません。かつての全国の将棋道場では,おじいちゃんたちがわいわいと冗談を言い合いながら将棋を指していました。消えていくものは,人と人とのつながりが感じられるものばかりのような気もしています。
では。