こんにちは。
札幌では受験シーズンに突入しており,こちらの教室でも,お二人の方が第一志望の学校に合格されています。おめでとうございます。
さて,先日の共通テストの東京大学会場では,高校2年生が傷害事件を起こして大混乱となりました。この事件の犯人ですが,医者になりなさいと親御さんからプレッシャーをかけられていたとも報じられています。
入試が近いですが,過度なプレッシャーはお子さまたちをつぶしてしまうことがあります。まだまだ10代の少年,少女です。安心させてあげたほうが,伸び伸びと力を発揮できるのでしょう。重圧に耐えられるような子どもは稀ではないでしょうか。
かつて,大変に成績の良い生徒を担当していたことがあります。
ある都立高校のトップ校を目指していたのですが,まず間違いなく合格するような成績でした。
ところが,ご両親からは「お前なんてバカだから合格するはずがない」などと言われており,さらには滑り止めの高校を受けさせないとまで言われていました。
そして結局,本当に滑り止めに出願できずに,都立のトップ校と,国立の附属校(都立のトップ校よりもやや難しい)を受験することになりました。成績が良かったため,3年間の学費や入学金などがすべて無償になる特待を取れる私立高校もたくさんありました。そうした学校を紹介したものの,親御さんは首を縦に振ることはありませんでした。
それから,度々この生徒から相談を受けるようになりました。
一言で言えば,不安で不安でしようがない状態です。ただひたすら,絶対に大丈夫だと声をかけることしかできなかったのですが,日に日に表情は曇っていきました。
国立の附属校の入試を受け,見事に一次試験に合格したものの,二次試験の面接で落ちてしまいました。天国から地獄でしょう。
その合格発表を見た後で,この生徒は私の前でポロポロと涙をこぼし始めました。
このまま行く高校がなくなるのではないか,どうしていいのかわからないと,重圧と不安に押し潰されそうになっていました。
「公立がダメだったら私立に行かせないよ」
「落ちたら働きなさい」
などと,子どもたちにプレッシャーをかける方もいらっしゃいます。しかし,多くの場合は逆効果となります。安心して勉強になど取り組めないでしょう。解けるものも解けなくなるはずです。
「たとえ不合格でも大丈夫だ」
「お金の心配はしないで精一杯やってみなさい」
などと,子どもたちを安心させてあげましょう。たたでさえ入試を控えて不安な気持ちでいっぱいなのです。逃げ道があったほうが,精神的に安定するはずです。
先ほどの生徒は,無事に都立高校に合格しました。しかし,合格発表当日,高校には行ったものの,何時間も合格発表の掲示板を見ることができなかったそうです。それほどまでに,重圧が大きかったのでしょう。
では。