こんにちは。
以前に一緒に勉強した生徒さんで,大変に優秀な方がいらっしゃいました。その親御さんが,今は趣味で洋書を読まれているそうです。
それでこんなことを思い出しました。
大学1年生のときのことです。同じく札幌から上京してきた同級生と一緒に,母の日のプレゼントを買いに行くことにしました。インターネットなど発達していない昔のことです。札幌と東京では,現代の感覚でいうと,鄙びた田舎町とニューヨークくらいの差があるような印象でした。東京で珍しいおしゃれなものでも買ってあげたいと考えたのです。
そこで,新宿駅の南口のデパートに行きました。私が何を買ったのかは覚えていません。スカーフだったか日傘だったか,店員さんと相談しながら,ちょっとおしゃれなものを買って贈ったと思います。
一方で友人はというと,そうしたものにあまり興味を示しません。どうしたのかと尋ねると,デパートの隣の大きな本屋さんに行きたいとのこと。無口な男なので,多くは語りません。ほしい本でもあるのだろうと,友達についていきました。
「あった,あった」と友達が嬉しそうにしたのは,輸入洋書のコーナーを見つけたときでした。友人は何冊かを見繕って買ったのですが,私は少々面喰っていました。想像すらしたことがなかったものの,友人には意外な趣味があるものだと驚いていました。
「きみは,そんなの読むの好きなんだね。知らなかったよ。」と尋ねると,「いや,お母さんが洋書を読むのが好きで。札幌ではなかなか手に入らないから。」とのこと。
ご家庭の文化の違いに飛びあがったものです。こんな上流階級の,ドラマにでも登場しそうなインテリな母親が身近に実在するのだと,信じられない気持ちもありました。
お母様は,ちょっとやってみたよと,私たちが受けたのと同じセンター試験の英語の問題も解き,90%くらい得点されたそうです。息子にはわずかに及ばず,負けたことを悔しがっていたとか。
さて,ふだんの生活の中で,子どもたちは多くのことを学んでいます。どのようなことに興味をもち,何に情熱と時間を注いでいくことになるかは,ご家庭の文化が大きく影響するでしょう。
当然,頭を使うことに興味を持てば,自然と勉強ができるようになっていきます。難しいところなのですが,勉強だけさせればいいというわけではありませんし,むしろ強制された勉強は逆効果になることさえあります。
この友人のようなご家庭に育てば,自然とお子さまたちは賢くなっていくでしょうし,勉強するようにもなるでしょう。
学力を伸ばす要因はたくさんありますが,環境の力は想像以上に大きいものです。
では。