志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

やったのは私なのですが

こんにちは。

 

塾講師に転職したての頃に担当した生徒さんで,大変に優秀な方がいらっしゃいました。

東大に30人以上合格する中高一貫校の生徒さんで,当時は中学3年生でした。その方が,私が勤務していた個別塾の門をたたきました。できる生徒さんが個別にいらっしゃったわけで,それなりにトラブルを抱えていました。成績がビリのほうだったのです。

 

運がよかったのは中3の頭だったということ。

まだまだ遅れを取り戻せますし,ちょうど勉強内容が高校範囲へと切り替わったところで,リセットもしやすかったのです。

最初に取り掛かったのは,徹底した数学の問題集の反復練習です。毎日塾に自習に来て,しかもものすごい集中力で長時間の勉強をしていました。そのあたりは,中学受験の経験があったからでしょう。やればやっただけ伸びていきました。

次には英語の予習と音読,理社などの暗記など,少しずつ他の科目へと拡張していき,すぐに勉強は軌道に乗りました。

半年後には,学年3番まで成績が上がり,もう個別塾は必要ないですねと,「卒業」していきました。

 

めでたしめでたしですね。塾という場所は勉強の手助けをするところです。ご自分で勉強できるようになれば,「卒業」も考えるべきでしょう。この生徒さんの場合には,もっと高いところを目指して予備校へと「転校」しました。個別塾では東大を目指すような高度な指導は難しいので,適切な場所で学びましょうとなったわけです。

 

その3年後,みごとに東京大学文Ⅰに現役で合格なさいました。本当によくがんばってくださいましたし,復活するきっかけをつくってあげられて,私自身も講師冥利に尽きるなあと,感慨深いものがありました。

 

しかし,ひとつだけおかしなことがありました。

予備校の合格体験記に,「学年ビリから東大へ」と,その方のお話が載っていたのですが,もちろん,ビリから成績が上位に上がるまでのお話が中心で,その後は自然と東大に合格しましたという内容なのですが,すべて予備校が手掛けたこととして,ストーリーが書き変えられていたのです。

 

どんな商品でも,いいことばかりを謳うのが宣伝でしょう。多少の誇張もあれば,「ウソ」もあるかもしれません。
塾・予備校の宣伝材料である合格実績と合格体験記というのは,つくられたものであって,あてにならないことも多いのは事実でしょうね。

 

では。