こんにちは。
ふと思い出し,押し入れの中から高校時代に愛用していた参考書を取り出してきました。
『多久の漢文公式110』というものです。
裏表紙を見ると,650円と書いてあります。20年少し前の価格ですが,それでも現代の参考書と比較すると安価だと思います。
安い理由はこんなところでしょう。
紙質が悪い。カラフルではない(赤と黒の2色刷り)。
現代の参考書と比べると,ものすごく見にくいでしょうし,インパクトも弱いでしょう。ただし,コンパクトで軽く,持ち運びは便利です。
中の構成はこんな感じです。
句形が110個紹介されているのですが,110個の句形について,写真と同じように,右に句形と意味が載せられていて,「例文(漢文)」→「読み」→「解釈」がついているだけです。
受験した大学では,当時は本格的な古文・漢文は出題されず,センター試験で満点を取れる程度にしか勉強をしていなかったので,受験漢文ではこの参考書しか勉強しませんでした。それでも,センター試験形式の模試や本番では,漢文50点分は簡単に満点を取れました。
勉強方法ですが,句形とその意味を確認して,例文を読むだけです。例文の読み方でつまずけば,「読み」でそれを確認し,訳がわからなければ,その部分の「解釈」と原文をつき合わせてどうしてそのような訳になるのか考えました。
1日10分,1~2か月つづけたでしょうか。それで3~4周くらいはしたはずです。ただそれだけです。しかし,ものすごくよくできるようになりました。
今の参考書ですが,理解するためのポイントが視覚的にもわかりやすくまとめてあったり,紙面もカラフルで,どこが重要で,覚えるべき箇所はどこなのかわかりやすく示されていたり,解説を読めば,それが非常に明快で,簡単に「わかる」ようになったりするよう工夫されています。(その代わり,かさばって重たいです。)
しかし,この「わかりやすさ」,「明快さ」というのが,落とし穴になっているのかもしれません。
簡単に「わかる」と書きましたが,本当に「わかった」のか,それは甚だ疑問だからです。地道な基礎練習なくして,受験で活用できて,十分に得点できるくらいにまで「わかる」ことはできないと思います。
ちなみに『多久の漢文公式110』ですが,ずいぶんと昔に絶版になっています。
はじめから地道な基礎練習を求める参考書が現代では受け入れられないのでしょう。ただし,簡単に「わかる」明快な参考書を使ったとしても,結局は,地道な練習を積み重ねないと本当に身につきはしないということを注意しなければなりません。
もう一点書くと,本にはメモ書きやマーカーの線が一切書かれていません。このページだけではなく,すべてそうです。句形だけだとか,大切な箇所だけを暗記しても意味がないからです。「読む」という基礎練習だけを行っていたので,マーカーを使う必要がなかったのです。
「わかったつもり」という落とし穴にはまらないよう,常に基本を重視する姿勢は意識して保ちつづけないといけませんね。
では。