こんにちは。
ジェネレーション・ギャップと言ってしまえばそれまででしょうが,今の子どもたちに聞くと,缶切りや栓抜きを使ったことがない子,そもそもこの道具を知らない子が非常に多いです。
今の缶詰は,ほとんどがこれになりました。
調べてみると,イージー・オープン・エンドとか,プルトップ式というそうです。
私自身も最後に缶切りを使用したのがいつなのか思い出せません。
ジュースはペットボトルが多くなり,ビールも缶ビールが多くなりましたね。結婚式などでは瓶ビールが出されますが,子どもたちだとそうした場に出たことがない方も多いでしょう。あるいは,大人たちがほとんどビールを飲まないとか,栓抜きを見ていても,興味がないから覚えていないとか,そういう可能性が高いのでしょう。
これらは,てこの原理を利用した身近な道具なのですが,実体験が減っているため,子どもたちの中には,てこを理解するのが難しい子もいます。
てこのモーメントを考えるのであれば,公園にあるシーソーがわかりやすい実体験となり得るでしょう。しかし,90年代以降,公園の遊具は危険だという理由で大きく変わっていきました。グローブジャングルジム,箱型のブランコ,そしてシーソーも滅多に見なくなりました。
てこの例に限らず,とくに小学生のうちだと,実体験の多寡が学力に大きく影響をしているように思います。
先日,ノーベル賞を受賞された吉野先生ですが,子どもころ,川でひろった大きな石を運ぶのに,水につけたまま運んだほうが楽に運べることを発見したそうです。浮力の原理ですね。
それを小学校の先生に話したところ,理屈を教えてくれたそうです。こうした体験が科学に興味を持つきっかけの1つになったそうです。
子どもというのは抽象的な思考が苦手です。(余談ですが,方程式を使わないのもそのため。)実際に体験したことでないと,うまく理解できないことがあります。
私も小学生のころは,「気圧」や「引力」について,知識ではわかっていても,実体験としてはそれが存在することを認識できないため,その存在に疑問を持っていたことがあります。
私と同様に,本で読んだ「自然科学の原理や現象」について,具体的に身体感覚として理解できないために,それが信じられなかったという記憶がある方も少なくないと思います。
実体験というのは,大人が考える以上に重要なものだといえるでしょう。
実体験の蓄積というのは,机上の勉強だけではうまくいきません。遊んだり,お手伝いをしたり,そうしたさまざまな日常生活の中で少しずつ得られるものでしょう。
また,子どもたちが疑問に思ったとき,手軽にできる実験であれば,見せてあげるのも有意義であることでしょう。
では。