志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

一万冊

こんにちは。

 

大学2年生のときのことです。

夏休みで札幌に帰省をしていました。1年浪人をして大学に入った高校の同級生と会って話をしていると,「予備校の授業はとにかくすごいぞ。1回受けてみろ。」と勧められました。

 

あまりいいことではないですが,ずいぶんと昔のことなので,時効でしょうし,社会にはそうした大らかさもありました。翌日,その友達について来いと言われ,予備校の授業にもぐりこみました。

 

こうした商売をしている今であれば,おそらく違った感想になったと思いますが,とにかく先生の話が面白かったのを覚えています。予備校に行ったことがない私でも名前を知っている人気講師の授業でした。

今にして思うことですが,面白いだけで中身のない講座だったのかもしれません。ご自分の自慢話などもされていました。曰く「俺は40歳だがすでに一万冊以上の本を読んでいる。これだけ本を読んだ博学な人間は滅多にいるもんじゃないぞ。」と。
だから俺の講義を受けられるお前たちは恵まれているんだと言いたいのでしょう。

まあしかし,その場では,友達の言う通り,学校の先生とは違うなと凄みを感じたのでした。

 

後日,どうしたかというと,自分も一万冊の本を読んでやろうと考えました。夏休み中でしたので時間もありました。とりあえず,1日1冊ずつ本を読むことにしました。

選んだ本の多くが,文学であったり,新書版の専門的なものに近い本であったりしました。博学になるために読むのですから,難しい本でなければならないという考えもありました。

かなり大変でしたが,1か月くらいつづけたでしょうか。

 

この時期に読んだ本の内容で覚えているものは,ただの1冊もありません。読んだ本のタイトルすら,1冊として覚えていません。結局,何も身につかなかったということです。「読むために」読んでいただけで,面白くもなんともありませんでした。

わかったことは,こんな本の読み方は無意味だということだけです。それで,1日1冊読むのも止めてしまいました。

 

バカなことをしたもんだとも思いますが,こういう自分が好きでもあります。

 

では。