こんにちは。
ほかに,高校,大学時代によく読んでいたのは,宮本輝さんです。あまりよいことではないですが,さらにいうと,これも家庭環境が大きく影響しているのでしょうが,小学校高学年のころから競馬が好きになりました。ちょうど,オグリキャップという競走馬が国民的なスターとなっていた時期です。そうした事情もあって,宮本氏の小説で最初に読んだのは『優駿』でした。(ちなみに,今は賭け事は一切やりません。)これを読んでから,宮本氏の小説をずいぶんと読むようになりました。
宮本氏の『錦繍』はドストエフスキーの『貧しき人々』の影響を受けたのではないかと思われるなど,この2人の作風には共通点があると思っています。今を思うと読んでいる本から見てすごく暗い少年ですね。実際,暗かったとも思います。
宮本氏の『星々の悲しみ』という小説が好きで,これも何回も読みました。高校生,大学生だったころには,この小説を読むと自分もがんばろうという気持ちになれたからです。
この愛読書を最後に読んだのは,おそらく30歳くらいのときだったと思います。そのときに感じたのは,何とも暗い小説をよくもまあ繰り返し読んだものだという驚きと,描かれている世界が重たくて「胃もたれ」するような感覚に襲われました。
読む時期,年齢,そのときに自分が置かれている状況などの作用で,同じ本でも受ける印象は大きく変わるものです。
読書にも適齢期というものがあるのでしょう。
多感な青少年期に読んだからこそ感じる何かが必ずあると思います。中学,高校時代というのは確かに勉強で忙しい時期でもあります。しかし,「同じ本」を読むにしても,この時期にしか得られないものはあるような気がします。
読書に限らず,音楽でも美術でも映画でも演劇でも…様々な芸術には若いころに触れるべきではないかと思います。こうしたことが,人生を豊かに幸せにしてくれると思いますし,若い時期だからこそ,逆にいうとある程度歳をとると得られない何かがあるようにも思うからです。
中学受験の1つのメリットは,中3の時期に勉強に大きく時間を割く必要がないということです。14,15歳の1年間は,確かに勉強するよりも,その分,文化や芸術に触れたほうが人間として成長できるのかもしれません。
高校受験があるにしても,時間を見つけて少しずつでも本を読むことは,有形無形にその後の人生に役立ってくることと思います。
1冊だけお勧めするとすれば,『罪と罰』ですかね。中3以上であれば,楽しめると作品だと思います。
では。