こんにちは。
長くこの仕事をしていますので,当然ですが,途中で塾をお辞めになる方にも少なからず接してきました。
引っ越しであるとか,受験が終了して「卒業」されるときであるとか,やむを得ない事情がある場合は別にして,辞める方のほとんどは何かしらの不満があってそうされるのが普通でしょう。
しかし,辞めるときにこそ,その塾の本質が問われるのかなと感じています。
学習塾の先生であれば,経験したことがあるでしょうが,辞めていく親御さんから,やはり不満や文句を言われることが多々あります。嫌味を言われたり,ときには罵声を浴びせられることもあるかもしれません。
そうした場合には,確かにこちらにも思い当たる節はあるものです。完全にこちらが「悪い」とまでは言い切れなくても,ベストな対応ができていたかどうかと考えると,答は「否」となるでしょう。
ある評判の良い塾に勤めていたときですが,次のようなことをおっしゃって辞めていく方が少なくありませんでした。
「うちの子がいたりませんでした。悪いのはがんばれなかったうちの子です。」
塾の対応には満足しているけれども,お子様の努力不足で塾の授業についていけないから辞めますと,こちらの対応を一切非難せず,むしろ感謝して辞めていかれる方が多かったのです。
もっとも,辞める方も非常に少なく,生徒さんが400人くらいいらして,月に1人か2人しか辞めませんでしたが。また,一度退塾された後に,戻ってきてくださる方もちらほらといらっしゃいました。
ちがいは何なのだろうかと考えたところ,日々,一生懸命に対応をするかどうか,単にそれだけのことのように思いました。
文句を言われていた時代には,売上や生徒数,つまりは営業のことを気にしており,辞めないように,辞めないようにと,後手後手に対応していたところがあります。生徒を増やすぞと「攻め」ているつもりが,知らず知らずに「守り」一辺倒になっていたのです。これでは満足な生徒対応などできないでしょう。
売上を気にせず,目の前の生徒たちと真剣に向き合った結果が,辞める方にも感謝されることにつながったのでしょう。
勉強でも,目先の成績ばかりを気にするのではなく,目の前のことに1つずつ真摯に取り組むことが必要ですね。
また,どんな商売にも,これは共通する考え方だと思います。
業績が悪いと「数字」を気にします。その結果,目の前のお客さんへの対応が後手後手になります。それでまた「数字」が悪化します。
そうした自分の経験もあり,「営業」がしつこいところは信用しないことにしています。
先日,派手にTVコマーシャルを打っていた法律事務所が破産しました。それも1つの例かと思います。そもそも経営がうまくいっていたのなら,派手な広告など必要ないわけです。
では。