こんにちは。
高校入試では面接試験を実施する場合があります。明らかにほとんど全員が第一志望とする学校で,もしくは第一志望の生徒しか受けない入試形式で面接を実施する場合もあれば,滑り止め受験の生徒も多いだろうなという学校で面接を実施する場合もあります。
東京にいたころに面接指導を行っていたときの話です。
東大合格者数で全国有数のある高校でも,かつて面接を実施していました。ここも都立や県立の最上位校との併願者が多く,第一志望としない生徒もたくさん受け,合格していました。
ところがここの面接は,ほとんど意味がないのではなかろうかと考えられていました。
第一志望はどこですかと聞かれ,
「日比谷です。」と堂々と答えても合格し,
今日はどうやって学校まで来ましたかと聞かれ,
「本当は電車で来るのですが,今朝は寝坊をしてしまい,父に車で送ってもらいました。」と正直に答えても合格しました。
試験の得点が合格ラインギリギリだった生徒たちを判別するのに用いていたのかもしれません。大きく評価されていなかったことは事実ですし,それ故に廃止にもなったのでしょう。
具体的な学校名は書きませんが,滑り止め受験が多い高校(有名私立大学に入れる学校です)でも面接を実施しています。
面接指導では,第一志望ですとウソをつきなさいと教えざるを得ませんでした。しかし,第一志望は別にあります。一緒になって苦しい言い訳のような志望理由を考えて,それを上手に話せるように練習したこともあります。
私が生来の小心者で,要領よく立ち回ることが苦手なので,15歳の少年・少女に向かってウソをつきなさいと指導することが,受験のためとはいえ,心苦しかったことを覚えています。
指導する側ですらそう感じることがあるのですから,いわんや生徒をやです。生徒たちの中にもきっとウソをつくことに後ろめたい気持ちや生理的な嫌悪感を抱きながら受験していた方はいらっしゃるでしょう。
学校側のアドミッションポリシーとして,ときには嘘も方便と上手く切り抜けられる生徒がほしいのかもしれません。
しかし,自分ならば絶対に受験することはないだろうなと思いますし,今ではあのときの指導は正しかったのだろうかと考えることがあります。答はわかりません。
就職活動で苦労したのもそんなところに原因があるのでしょう。しかしこちらのほうは,それでよかったのだろうと思っています。
では。