こんにちは。
学生寮に住んでいたとき,ある先輩の部屋の前に1枚のジグゾーパズルが飾ってありました。
トウカイテイオーという競馬の馬のパズルなのですが,額の右下の隅に1枚の馬券も入れられていました。
トウカイテイオーは,おそらく勝てないだろうと多くの人が考えていた引退レースで感動的な勝利をおさめます。額の中の馬券は,そのレースのトウカイテイオーの100円の単勝馬券でした。
換金せずに記念にとっておいたのでしょう。額の中でその当たり馬券は輝いていました。
トウカイテイオーが引退したのは私たちが大学生だった時代の数年前のこと。その先輩もトウカイテイオーの引退レースは見ていないとのことでした。
さらにその上の先輩から受け継ぎ,部屋の前に飾っているとおっしゃっていました。
先輩が卒業されて寮を出るとき,先輩から受け継いだものであるため,そのパズルはある私の同級生へと受け継がれました。
その同級生もパズルを部屋の前に飾っていました。
さて,私たちが寮を出るときになって,同級生はどうしたかというと,そのままパズルを私物化してしまい,引っ越し先へと持って行ったのでした。
単に「もの」としていただいたわけではなく,「思い」も受け継いだパズルであるはずです。それはおかしいのではないとか同級生には話したのですが,もらったものなのだからどうしようと自分の勝手だと,そんなことを言っていました。
生き方や考え方の問題でもあるので,何が正しいか,それは難しいでしょう。しかし,私はものに執着するような,自分だけ得するような生き方は選んできませんでした。
何を与えられたとき,それはものであっても恩であっても構わないのですが,相応のお返しをすべきだと思っています。
先輩から受けた恩であれば,後輩へと返していくべきでしょう。
もらいっぱなしだと,どんどんと自分の中に「富」が貯まっていくように感じるかも知れませんが,「富」を他人に返していかないことで,もっと多くのものを失っているのかもしれません。
単なる私の考えですので,もらいっぱなしの生き方を否定するわけではありませんが。
では。