こんにちは。
以前に働いていた塾でのことです。自転車で教室まで行って自転車を停めたところ,鍵のかけられていない自転車が目にとまりました。
誰かが鍵をかけ忘れたのでしょう。盗まれてはいけないなと考え,教室にいるみんなに声をかけました。(そんなに大きな教室ではなかったので,全員に簡単に声をかけることができました。)
すると一人の先生が
「それは私のです。」と名のり出ました。
「まずい。かけ忘れたかも?」と誰かがあせって確認しに行くことが予想されていたので,おかしな反応に戸惑いました。自分が鍵をかけていないことをわかっているのです。
その先生曰く
「私は自転車に鍵をかけないのです。盗む人なんていないだろうし,仮に盗まれたとしても,鍵を閉めないのが悪いのではなくて,明らかに盗むほうが悪いじゃないですか。そんな悪い人のために,なぜわざわざ自分が鍵をかける必要があるのか。盗られたほうが悪いという風潮や考え方はおかしいです。」
そんなことをおっしゃいました。
完全に性善説を貫いています。
『贈る言葉』という歌の歌詞に「信じられぬと嘆くよりも 人を信じて傷つくほうがいい」という一節があります。同じ考え方ですね。
何があっても自分は人を信じる,純粋で真っ直ぐな気持ちですね。
育ちの良さから来るのでしょうけれど,ひねたところが微塵もない,心が澄んでいてしっかりと前を向いている方が存在します。私とは正反対のような方で,そういう方には不思議に人を惹きつける魅力があるものです。
先日も,自転車に鍵をかけていない生徒がいました。
やはり純真な心をもったすばらしい子です。
この先生は情熱的に生徒たちを引っ張っていく方でした。
生徒たちの可能性を常に信じていました。すばらしい方ですね。
何の疑いもなく人を信じられる,未来を信じられるというのは,本当に稀有な才能だと思います。こうした方は,必ず幸せな人生を送れるでしょう。
私も見習いたいものです。
では。