こんにちは。
物心ついたときから,私の部屋の本棚には世界文学全集が「飾り」として置いてありました。誰も読んでいないから「飾り」です。
若い頃に母がローンを組んで買ったのだそうですが,おそらくほとんど読まなかったもので,1冊も読んでいない可能性すらあると思っています。
(のちに半分くらいは私が読みました。)
その文学全集の列に2冊だけ装丁も大きさも違う本が並んでいました。別のシリーズの世界文学全集で,ロマン・ロランの『魅せられたる魂』でした。
母が当時恋心を抱いていた男性から借りた本と聞いています。何らかの事情で返さずにそのままになったのでしょう。
母が世界文学全集を買ったのも,その方の影響かもしれません。
母が買った世界文学全集ですが,古い本で陽に焼けてかび臭くもなっていますし,日本語訳も古めかしいですし,加えて今の本よりも字が小さくて読みにくいです。
もう価値もなかろうと,数年前にすべて処分しました。
ところが,この2冊だけは捨てられずに本棚に残されていました。
借りっぱなしというものは,魚の骨が喉に刺さったようにずっと気になるものでしょう。この本を捨てなかったのも,自分のものではないという意識からでしょう。
無理だとはわかっているけれど,できることなら返したいという気持ちがあったのかもしれません。
本の最後にはメモ書きが残されていました。
居島秀明さんというお名前も見えます。
小川西町の現在の職業能力開発総合大学校にお通いだったのでしょう。
ちなみに,私はかつて小川東町,線路をはさんで反対側,この学校のすぐ近くに住んでいたことがあります。なんとなく運命を感じますね。
ひっそりとブログに載せてみますが,もしも亡くなった母が返したいと願っていたのなら,持ち主の方の目にとまるのではないかと思っています。
それまでしばし拝借し,この2冊は読んでみようと思っています。
では。