志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

出口を考える

こんにちは。

「出口」とタイトルにつけましたが,「塾・予備校」をいつ辞めるかというお話です。塾の「卒業」ですね。
地方に行くと,「小中高一貫」などとうたっている学習塾が比較的多いように思います。この看板は集団塾に多いですね。小学校から大学受験まで面倒を見ますよ,といううたい文句です。大学生になってもアルバイトとの先生をやってね,と,さらにつづく場合もあります。
また,受験のために通っていた個別指導塾でも,進学した後もつづけましょうと誘われることが多いと思います。ここでは,塾を辞めると高校でついていけなくなります,といった不安をあおるようなことを言われることもあるでしょう。

では,この「小中高一貫」,「進学しても継続しましょう」というのは,いったい誰のためなのでしょうか?
個々のケースによって違いはあり,一概にすべてを批判することはできないのですが,「子どものため」ではなく「学習塾の売上のため」という場合が少なくないように思います。
地方で目立つのは,地方のほうが少子化が進んでいて塾の経営が厳しいことが関係しているでしょう。

たとえば,高校受験で進学校に合格した場合には,基本的には徹底して学校の勉強をやるべきだと思っていますし,それで大学入試にも対応できます。高校に入学した後も,同じ塾・予備校を継続するというのは,両立が難しいなどの理由で子どもたちの足を引っ張るだけの場合が多いように思います。
東大にも一定数の合格者を出すある都立の学校の校長先生が,「成績のいい子ほど塾・予備校には行きません。東大に合格するのはほとんどが塾・予備校に通っていない生徒です。苦手な子が個別塾で補習を受けたり,できる子が個別の大学入試対策のために1~2講座だけ取ったりという場合はあるようです。」という趣旨のことをおっしゃっていました。
都立の学校は進学指導が充実しているということもありますが,学校の勉強だけでどこでも合格できるということの例ですね。
このあたりのことは以前書いたこちらの記事もご参照ください。

ですので,1つ目に示したい「出口」は高校に合格したときです。
1度,塾・予備校というものをリセットして考えてみるべきでしょう。いろいろと情報収集をして,それでも通うべきだとお考えなら,まずは学校の勉強を第一にすべきだというケースが多いと思いますが,プラスアルファで塾・予備校にお通いになるといいと思います。
中学受験をした場合にも,似たような感じになると思います。ただし,中学によっては,国立の附属中などですが,高校入試が必須の場合があり,この場合には塾が必要になるかもしれません。

次に考えたいのが個別指導塾の出口です。
個別塾には,ある特定の目的をもって入塾するケースが多いように思います。
もっともオーソドックスな「受験」という目的であれば,当然ですが,受験が終わったところで「卒業」となるのが普通でしょう。ちょっと,ショッキングなことを書くと,東京では個別指導塾の先生の平均的な学力は「日東駒専」レベルだと言われています。個々の教室によって事情は異なるでしょうが,進学校のような高いレベルの学習内容を適切に指導できる先生がいない場合も多いということです。
ここでも,集団塾と同じように,中学,高校に合格したら,いったんリセットした状態で考えてみてくださるといいでしょう。

ほかにも「英検などの試験対策」,「苦手科目の克服」などの理由でお通いになる方が多いと思います。「試験」であれば,合格したときに一区切りとなりますね。
「苦手科目の克服」ですが,これは成績が上がった後もズルズルとつづけるケースが多いように思います。成績が上がったのであれば,塾に対する信頼が形成されることが多いのでなおさら辞めない方向になりますね。
そのあとに,今度は入試に向けて,などの目的も新たに出てくるでしょう。しかし,ここでも何も考えずに継続していくのではなく,その新たな目標に対して,今の塾が果たして最適なのか,考えるべきでしょう。もちろん最適な場合もあります。ただ,個別塾では先生の力(教室長以外はほとんどがアルバイトの大学生)に限界があることも事実なのです。
また,要望として,子ども1人だけでも勉強できるように「勉強のやり方」を指導してほしいということは伝えるべきでしょう。成績も上がって勉強のやり方も身についたなら,もうまったく心配はなくなりますね。これも,「卒業」を見据えて,ある程度目途を立てておくと,よりよい選択ができるかと思います。

塾の先生が,塾に必ずしも行く必要がないという内容を書きました。
誤解がないように私の考え方も書いておきます。塾というのは決して安い買い物ではないですね。月の授業料を仮に2万円としても,年間で24万円もかかります。そのほかに,テキスト代や季節講習の代金もかかります。
本当に必要な方,しっかりと勉強したい方には塾に通っていただきたいと考えております。しかし,塾に通うことが必ずしも最適な選択ではないと思われる事例も多いです。塾・予備校を否定しているわけではなく,それが本当に必要な方のための塾・予備校であってほしいと考えております。

では。