志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

日比谷高校二次募集

こんにちは。

日比谷高校が二次募集をしていることが話題になっています。
昨年の東大合格者数は48名,うち33名が現役合格。一橋にも25名が合格するなど有名大学に多数の合格者を輩出しています。高校受験をする公立高校というくくりでは,全国でNO.1の進学校だと思います。

その日比谷高校が,入学手続き人員が定員に満たず,5名を二次募集しています。
毎年,一定数の合格者は日比谷高校の入学を辞退されます。それを見越して今年も多めに合格者を出したのですが,それ以上に辞退者(合計で21名)が出たために,二次募集となりました。
今年の場合だと,ある国立大学の附属高校で繰り上げ合格が大量に出たという背景があるようです。
(興味のある方はネットで検索してみてください)

しかし,本日触れたいのはそのことではなく,毎年,はじめから辞退するつもりなのに受験する子が一定数いるということです。

入学を辞退するにしても,例えば,今年はこういう子が例年よりも多かったと思われますが,日比谷高校の試験が済んだ後に,第一志望だった国立大附属高校から繰り上げ合格の連絡があって日比谷も合格したけれども辞退したとか,最後までどこの高校に進学するか迷っていて,両親とも意見が合わずに困ってもいて,日比谷高校の合格後に他校に行く決定をした,など,仕方のない場合もあるでしょう。

日比谷ではないですが,以前に指導していた生徒で,日比谷に並ぶ都立のトップ校を辞退した生徒がいました。本人の口から聞いたわけではないですが,状況から考えると,原因は恋でした。好きな女の子がその都立高校に合格したら一緒に行こうと思っていたのでしょう。彼女は残念な結果となり,彼は合格したのですが早慶の附属へと進学しました。このように,最後まで決められない子もいるわけですね。

本題に戻ります。受験日程の関係で,都立高校の試験は一番最後になりますし,私立や国立附属などの試験結果も全部でそろってからになるのですが,第一志望に合格しているのに,日比谷高校の試験当日に欠席せずに受験する子が一定数いるのです。日比谷高校を蹴るくらいの高校が第一志望で合格もしているのですから,当然,学力も非常に高い子です。合格する可能性も高いわけです。
なぜ,受けに行くのか?

多くの場合は学習塾の合格実績稼ぎかと思われます。
日比谷高校の合格実績を1つでも多く積み上げたい学習塾が,辞退するつもりでも受けに行くように生徒に指導するケースがあるようです。当然ですが,中学校の先生からは行かないように止められます。その生徒が合格をすることで,1人,ほかの生徒が本当に行きたい学校に行けなくなるわけですから。
ですので,辞退するつもりで受験する生徒は,学校の先生にも嘘をつくことになりますし,どこかの知らない子とはいえ,同学年の1人の若者の人生を大きく狂わせていることにもなろうかと思います。

「そんなことは知ったことではない」という利己的な生き方を選ぶのも否定はしません。ただ,塾の先生が,そうしたことをわかった上で,自分たちの利益を優先して辞退するつもりの生徒を受験させているとしたら,それは子ども教育する立場として,どうなのかとは感じます。
生徒に人をだますことをさせ,間接的にではありますが,ほかの誰かをひどく傷つけさせているのですから。

同じような理由で,都立高校の推薦入試を受けないように指導するケースも多いようです。これは,辞退して他の生徒や学校に迷惑をかけるわけではないので,また,推薦は倍率も高く,確実とは言えないので善悪は微妙ではありますね。塾の立場からすると,都立の推薦に合格すると,他の私立高校や国立附属高校を受験しないことになるため,そうしたところの合格実績が減ることになります。しかし,推薦も受けたいという生徒さん親御さんの意思を尊重できないようであれば,こちらも誰のための進路指導なのかと疑問には感じますね。数年前まで指導していた現場の感覚でいうと,推薦はずいぶんと合格しやすくなったと感じていました。他塾のエース級受けに来ていないのではないかと。勉強のできる子は,人間としてもしっかりしていることが多いので,すごくできる子がたくさん,当然のように推薦で合格していきました。

もちろん,私は,塾の利益を優先するようなことはなく,生徒さんやご家族にとって,どのような選択がもっともよいのかを考えて,進路指導であるとか,ふだんの学習指導を行ってきました。当然,これからもそうです。
ただ,学習塾には営利企業という一面が間違いなく存在します。この塾は本当に親身になってくださっているのかと,慎重に見極める必要がでてくる場面もあるのでしょうね。私の経験上,建前ばかりを並べるような方は,自分の利益ばかりを考えていることが多いように感じています。
人と人との関係ですから,心がないと建前だけになるのかもしれませんね。

また,今回は残念なことに,本来は日比谷に入学できはずの生徒が何人か不合格になっているのです。そのことにも心を痛め,悲しい気持ちにもなっております。
辞退した方も,不合格になった方も,混迷している追加合格を発生させた国立大学附属高校も,だれも得したわけではなく,全員が被害者であると思います。そうした方たちがこれから幸せになれるといいなとも願っています。

では。