こんにちは。
ミドリムシの思い出です。
大学生のとき,寮に住んでいましたので,誰かの部屋に集まって飲み会をすることがよくありました。その日も,誰かの部屋に集まってテレビを見ながら酒を飲んでいました。
すると,テレビに何十年もの間ミドリムシの研究をしているという大学教授が出てきました。記憶があいまいですが,(世間から見れば)変わった研究をしている人を,面白おかしく紹介するような番組だったと思います。
私も放送に流されて,笑いながら見ていたのですが,一緒に飲んでいた理系の友人たちから,たまたまそのときは,私以外は全員理系だったと思うのですが,「こういう研究をバカにしてはいけない。こうした星の数ほどある研究の中から,たまたま役立つ発見がなされて世に出てくるのだ。」と,諭されたのを覚えています。
その1年後くらいでしょうか。高校時代の同級生で東京に出てきている人と久しぶりに会って飲みました。大学で何を研究しているのかと聞くと,ミドリムシの研究をしていて,さらに彼の師である大学教授は何十年もミドリムシの研究をつづけているその道の権威だというではないですか。
あのときは笑っていたけれど,身近にもそういうことを学んでいる人はいるのだなあと感じたものです。
社会人になってから,古くからの友人と会ったことがありました。
お互いに働いているから名刺交換なんかをするわけです。
彼は大手企業に勤めていたのですが,そのときには退職してベンチャー企業に勤めているとのことで,名刺には聞いたことがない社名が書かれていました。
社名は「ユーグレナ」。
知り合いにもユーグレナを愛用されている方がいます。
ミドリムシの研究が社会に役立つものとして世に出てきたわけですね。
大学などの研究機関が行っている研究というのは「宝くじ」のようなところがあると,よくいわれます。何が当たるか,それはまったく予測がつきません。ただ,幅広く研究を行っていると,その中から役立つ成果が現れて,私たちの社会をより良い方向へと変えていくのでしょう。ミドリムシの例のように,どのような研究が社会にプラスになるのか,それは想像もつかないことがあります。
国は目先の成果ばかりを追求するのではなく広く学問に対して予算を配分してほしいとも願っていますし,また,これから大学に進学されるみなさんにも,「役立つ(何をもって役立つと言えるのかはあいまいですね)」という視点や「就職に有利」という視点だけではなくて,やりたい学問は何なのか考えていただくと,それが結局は一番の社会貢献になるのではないのかと考えています。
では。