志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

文理の区分

こんにちは。

昨日,幅広い教養がこれからの時代には求められるのではないと書きました。
もう少し範囲を狭めて,大学に行ったときのことを考えてみます。

「文系」,「理系」という括りはありますが,これは少なくとも大学が提示した枠組みではないでしょう。受験産業なのか,高校なのか,どこが最初につくったグループわけなのかはわかりませんが,大学に進学を希望する側の都合が大きく優先されていて,大学側の都合でできたわけはないことは事実でしょう。
このグループわけですが,大学で学ぶときに不都合が生じることが多いように思います。

たとえば,私は経済学部でしたが,大学での理論経済学系の講義はほとんどが数学の授業のようでした。大学1年のときに使用していた微分積分のテキストは,早稲田の理工学部のものと同じでした。経済学では数学を駆使するわけですね。ローズベルト大統領は,ケインズ近代経済学の父とよばれる人物でニューディールを建言しました。)に会ったときの印象を,「経済学者というよりは,数学者だと感じた」と述べられたそうです。
昔から言われていることですが,経済学部が「文系」にカテゴライズされているのはおかしいのかもしれません。
学生時代,某名門私立大学(MARCHレベル)の方が,数学がまったくわからなくて困っていると聞いたことがあります。大学入試で数学はまったく必要なかったことが原因ですね。詳しく尋ねてみると,平方根(ルートの計算など)がわからないとのことでした。ちなみに,中3で学ぶ内容です。「文系」だからと数学を放棄した弊害ですね。

経済学に限らず,心理学であるとか社会調査であるとか,統計学が必須となる「文系」の学問は多く,当然ですが,統計学の理解には数学が必須となります。

あまり詳しくはないのですが,理系の分野を考えてみます。
以前に読んだ本で,『ダンゴムシに心はあるのか』(森山徹著・PHPサイエンス・ワールド新書)というものがあります。ダンゴムシは障害物にぶつかると,右→左→右→左→…と交互に曲がる習性があります。そうした実験を通してダンゴムシの心を考えるところからはじまり,タコなどのほかの生物,金属や石などの物体の心についても考えていきます。面白い本ですので興味のあるかは読んでみてください。中学生でも楽しめると思います。
簡単に本の内容を紹介しましたが,「生物学」の内容だけではなく,心について考えているのですから,「哲学」的な内容が多分に含まれていることが想像できるかと思います。「文系」,「理系」という括りがまったく意味がないことがわかりますね。

大学で学ぶ学問ですが,「文系」,「理系」という括りはなく,専攻する特定の分野の理解に必要であれば,数学でも哲学でもどんなものでも学んでいくものであると思います。中3,高3の受験学年になるとさすがにそうも言ってられないでしょうが,1,2年生のうちは,好き嫌いせずにどんな教科でも貪欲に学ぶことをお勧めいたします。私はそうしなかったわけですが…

では。