志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

教育格差

こんにちは。

東京工業大学が,両親(1人親の場合にはその親)ともに大卒ではない学生向けに,給付型の奨学金制度を導入するそうです。

Yahoo!ニュース

各学年で15名程度,月5万円が支給されるようです。
この「各学年15名」という数字をどう見るか,複雑な気持ちになりました。

東工大は,1学年の定員が1,100人程度です。
15名という募集人員には,ある程度の根拠があるはずです。ここからは何の根拠もない私の推測でしかないのですが,現在の東工大生の中に,どの程度,親が大卒ではない人がいるのか,その数を元にして決めたのがこの「15」という数字である可能性があるのかなと思います。もちろん,インセンティブとして導入するわけですから,15名というのは,現在の割合よりも多めに見積もって設定したとみるべきでしょう。
そう考えると,東工大生の中で,両親とも大卒ではない人の割合は,わずか1%程度,もしくはそれ未満なのかもしれません。

私の実感としても,1%というのは,こんなものだろうなと思うのです。
1997年に東工大と比せられる国立大学に入学した私ですが,その当時ですら,両親ともに大卒ではない学生はほとんどいませんでした。あまり交友関係は広いほうではありませんでしたが,私ともう一人,懇意にしていただいた先輩が両親ともに高卒で,この2人以外には聞いたことがありません。地方から上京してきていた方,札幌なんかよりもずっと田舎の出身の方たちも例外ではなく,親御さんが大学を卒業されていました。この先輩(学内でいろいろな活動をされていた顔の広い方でした)にも,「そんな人は他にはいないのではないか。」と伺った記憶があります。

昔から言われていることですが,親の学歴の違いは家計の所得の違いにつながり,所得の違いは教育格差につながるそうです。したがって,現在の社会は目に見えにくいだけで,厳しい格差社会になっているのではないかとも指摘されています。事実,親の所得と子どもの学力の間には強い相関があるそうです。

また,東工大であるとか東大・京大・一橋…といった名門大学の合格者を見ると,東京都市圏や大阪都市圏の名門中高一貫校の出身者ばかりです。近年,台頭している公立高校も都市部の伝統校だったりもします。都市部と地方との格差もあるわけです。
そもそも,過疎地の出身で,両親ともに高卒だった場合には,どんなに勉強ができても,「大学に行きたい」とすら思わない可能性もあります。

今,私は地元の札幌に戻ってきて,小さな個人塾を始めたわけですが,親の教育格差がそのまま子どもに受け継がれたり,都市部と地方では大きな教育格差があったりと,そうした状況に少しでも風穴を開けたいという思いがあります。

今回の東工大の取り組みは素晴らしいものであると思います。しかし,現実には,東京・大阪大都市圏でも地方の道県でも,その地域でトップレベルの進学校(高校)に入学した時点で,両親ともに大卒ではない方はほとんどいらっしゃらいないように思います。さかのぼれば,中学校の時点,もっと前の小学校の時点で,学力差はついており,教育格差の広がりのスタートになっているようにも思います。

学校の勉強だけで,難関大学を目指せるかというと,現実は厳しいように思います。とくに,高校入試の時点で大きな壁があるように感じます。高校に入ってしまえば,進学校は優れた受験指導をしてくださるでしょう。ですので,高校入試の壁が本当に高いように感じるのです。高校の難関校には,塾なしで入るのは難しい場合があるのです。

学校以外の場でも,どんな方にも等しく優れた教育を受ける機会を提供したいというのが私の理想でもあります。実際,できているかというと,まだまだなのですが。少しでも理想に近づけるように,どんなことができるのか,一歩一歩頑張っていきたいと,自分にできることを着実にこなしていって,少しでもみなさんのお役に立てればいいなと,そんなことを考えました。

では。