志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

進度

こんにちは。

 

昨日,過去問の開始時期について書きましたので,関連して学習の進度について,私の考えを書きたいと思います。

おもに高校受験のことだと念頭において読んでください。中学受験,大学受験だと,若干事情は異なるでしょう。

 

東京などでは,「進度は速ければ速いほどいい」といった風潮があるように思います。

具体的な塾名は書きませんが,高校受験塾だと,中学3年間の内容が2年間で終わるというのがもっとも進度が速い塾で,それも今では複数あるでしょう。

 

はじめは,Sという塾だけがこのようなカリキュラムを組んでいたように思います。ところが,他塾よりも進度が遅いと不安になる方も多いのでしょう。教えている塾の先生たちの間でも,こちらのほうが遅いとあせった方もいらっしゃったのかもしれません。

いくつかの他塾も追随するように進度が速くなりました。

 

大学受験に目を向けると,話題の東大王メンバーの中にも通っていた方がいらっしゃる有名な東大進学塾があります。ここの進度はものすごく速く,中1の1年間で中学範囲が終了し,次の中2の1年間でだいたいの高校範囲が終了します。

この塾から東大に進学された方を何人か知っております。みなさん,灘とか開成とか名門の中高一貫校のご出身なのですが,ついていくのが精いっぱいだったとか,最後は落ちこぼれてしまった(それでも現役で東大に合格します)とか,そんなことをおっしゃいます。

 

高校受験塾でも,進度が速いところにお通いの方から,速すぎてついて行かれないとか,中3になってみて基礎がガタガタで成績が伸びないことに気がついたとか,そんな悩みを聞くことも多かったですし,知り合いの先生の中にはこの速いカリキュラムは明らかに失敗だとおっしゃる先生もいらっしゃいました。

 

結論を書くと,カリキュラムは速ければいいというものではないでしょう。

当然ですが,学習というのはしっかりと学んで身につけなければ意味がありませんし,身につけた上で高校受験で成功するというのが一番の目的のはずです。

ついていけない,身につかないというのであれば,それは優れたカリキュラムとは言えないのかもしれません。最低でも,身についていない方にとっては,そのカリキュラムは合っていないことになります。

 

少しだけ,弁護するようなことを書くと,ものすごくできるような子どもたちにとっては,そうしたカリキュラムがちょうど良いのだと思います。東大受験塾でいうと,理Ⅲに合格するような成績の方,高校受験塾でいうと,筑波大附属駒場のような最上位の高校に合格するような方ですね。

進度が速いと演習が不足しがちで定着しにくく,理解も深まりにくい傾向があります。しかし,一部の大天才たちは,どんどんと新しい単元に進んでいくうちに,あやふやだった既習事項が自然と固まっていき,いろいろな新しい知識と結びつくことで自然と理解も深まっていくのでしょう。

ですがこれもごく一部の方に限られた話で,ふつうはすべてがあやふやなままにどんどんと進んでしまうように思います。

 

事実,東京では難関校にものすごい合格実績を上げている塾がありますが,難関受験対策の塾としては,おそらくもっとも進度が遅いでしょう。11月くらいにすべての教科の範囲が終了します。

 

受験のスケジュールを考えると,最後にまとまった時間を取れるのが冬休みで,冬休みが終わると,あっという間に入試本番を迎えます。2月には私立高校の入試が始まりますね。と,考えると,冬休み前には過去問演習に入っていたいのです。

このような考え方にもとづいて私はカリキュラムを組んでいます。いろいろな考え方がありますので,また生徒一人ひとりで状況は違いますので,一概のどれがベストだとは言えないとは思います。

 

ただし,速ければ速いほどいい,という考え方がおかしいというのは確かかもしれません。

 

では。