こんにちは。
人の名前を覚えるのが苦手な方も少なくないでしょう。
昔勤めていた会社の研修で教わったのは,相手に興味をもっていないから名前も覚えられないのだということでした。
確かに,どんなことでも興味があればすぐに覚えられますね。また,人の名前でも,たとえば新しいクラスになったとして,かっこいいなあ,かわいいなあ,と気になった人や,目立っている人から名前を覚えていくものです。
人に興味をもつためには,よく話を聞いたり,よく観察したりすることが必要です,とも教わりました。
相手のことはよく見るようになりましたし,なるほど,そのほうが人間関係も円滑に進む場合が多いです。
この人は,これこれこういう性格だろうな,だから自分はこんな対応をしていけばいいなと,相手に合わせて対応をできるからです。
また,きっと自分とは合わないだろうな,うまくいかないだろうな,という相手とは,努力してすりあわせようとしても,やはりダメな場合も少なくありません。
社会というのは人間関係が基本になっています。
どんな仕事,どんな立場にあっても,相手のことをよく見る人は,そうでない人よりも成功しやすいように思います。
私の場合ですが,商売柄,たくさんの生徒さん,たくさんの親御さんと接しています。また,学生時代は一癖も二癖もある仲間たちと寮生活をしていましたので,その経験も生きており,人を見る目は養われているように思っています。
客商売をしている方も,たくさんのお客さんと接していて,人を見る目が養われているでしょう。
東京でよく行っていた居酒屋のマスターも鋭い洞察力をもっていました。
ある日,お店に入ると,若い女性が一人でカウンターで飲んでいました。
しかし,なんだか雰囲気がおかしいのです。小ぎれいにはしているものの,定まった住居があって,定職についているような感じではありません。どこかから逃げてきたのか,そんな雰囲気すらありました。
食べていたのはおにぎり。居酒屋にはご飯メニューもありますね。お酒はほとんど飲んでいなかったでしょうか。大きなおにぎりを頬ばっているのですが,それを食べ終わるとおにぎりのお代わりをしました。
そして,それも食べ終わると,会計をして店を後にしました。
なんだったのだろう?
不思議に思っていると,マスターが第一声「怖いおねぇちゃんだったね」と私におっしゃったのでした。
「怖い」という一言にすべて凝縮されているように思いました。言いえて妙です。
忙しく仕事をしていたマスターですが,よく見ているなあと感心したのでした。
マスターが言うには,腕に近くの日帰り温泉施設のロッカーキーを巻いていたそうです。
「かかわらないほうがいい」と,そんなことも察知されたのでしょう。それが「怖い」という言葉に表れていると思います。
あの女性はなんだったのだろうかと,今でもたまに思い出します。
では。