こんにちは。
お祭りといえばこのようなことを覚えています。
小学校に上がったくらいのときだったと思います。中島公園の縁日で,「偽」の傷痍軍人をはじめて見たのです。
何も知らない子どもですから,その姿を見て憐れに思い,いくばくかのお小遣いを上げようと思いました。
一緒にいた父は,あんなのは嘘だから無視しなさいと,私の手を引いてそそくさとその場から逃げるように立ち去ったのでした。
記憶力がいいと,確かにテストであるとか勉強の面では得することが多いと思うのですが,こうした他の人だとすぐに忘れてしまうような些細なことをいくつもずっと覚えています。
この出来事も,いまだに心に引っかかっています。
のちの経験や知見から考えると,このときに見たのもほぼ確実に偽物の傷痍軍人でしょう。しかし,絶対にそうだとは言い切れませんし,見捨ててしまった良心の呵責のようなものはずっと残っています。
父の発言自体はおそらく正しいことでしょう。そのあともしつこく何かを言った私に対して,本当に戦争に行ったのであれば国からお金をもらえているし,怪我をしたことに対しての補償もされているんだよとも説明してくれました。
しかし,釈然としないものはありました。
父の行為は良識的なものであるとは思いますが,子どもに対して「正しい」ことであったのかどうかは疑問です。
だまされるのも一つの経験だと,今の私が父の立場なら,子どもの意思を尊重してお小遣いからお金をあげさせると思います。
数年前まで東京に住んでいましたが,新宿駅の西口で偽の傷痍軍事をよく見かけました。今でもいらっしゃるのでしょうか。
戦争が終わって76年経っています。終戦時に仮に20歳だったとすると,今は96歳になる勘定です。
新宿で見かけた方たちは,冷静に算盤をはじくと明らかに若く見える方ばかりでした。こちらは本物の偽の傷痍軍人でしょうね。
では。