志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

コンプライアンス

こんにちは。

昨日,2009年のWBCのことを書きましたが,引っ越しで新居に移動している途中に,私がラジオの中継を聞けたのにはこんな事情があります。

当時,私が住んでいたのは千葉県の市川市でした。余談ですが,10数年前に,外国人の英会話講師が殺害されるという痛ましい事件がありましたが,その現場のすぐそばに住んでいました。
引っ越し先は杉並区でした。井の頭線沿線に「T駅」の近くに「T」という居酒屋があってよく行っていたことを書いたことがありますが,そこのすぐ近くのアパートが引っ越し先でした。
電車で移動すると,東西線に乗り,どこかで乗り換えて渋谷へ出て,井の頭線で新居に向かうルートになるわけですが,歩く時間も含めると,1時間15分くらいかかるかと思います。
移動中ですが,携帯にラジオの機能がついていたわけでもなく,ポータブルのラジオを持っていたわけでもなく,引っ越しの当日は,私もこの1時間15分と引っ越し作業のプラスアルファの時間は野球が見られないなとあきらめていたのです。

市川市の旧居に引っ越し屋さんが来て,トラックに荷物を積み終えて,業者さんと新居の位置などを確認してお話しをしていました。3月の繁忙期ということもあり,そのあとにも予定が詰まっているようで,業者さんが急ぎたい様子が伝わってきました。
そのときに,業者さんから「電車でどれくらいかかりますか?」と聞かれ,答えたのですが,…
業者さんのお二人が顔を見合わせて目と目で確認を取り,「車のほうが速いな。」と,そして,なんと「お客さん,乗って行ってください」とおっしゃっるではないですか!
なぜ,驚いたかというと,引っ越し業者さんのトラックに同乗して引っ越し先に連れて行ってもらうのは,明らかな不法行為だからです。
違法だと知ってはいましたが,業者さんも急いでいらっしゃるし,今回お世話にもなっているわけですし,人助けのつもりで,トラックに乗せてもらったのでした。
口には出さないものの,違法だけれど,まあ今回は目をつぶってと,無言のうちに3人の間で合意が形成されたわけですね。「空気」というものです。

それで,カーラジオでWBCの中継を聞いていたわけです。

結局,1時間弱で新居に到着し,無事に引っ越しは済み,あの名場面も見ることができたのでした。
「1時間弱」と聞いて,土地勘のある方ならわかるかと思いますが,ものすごく早く着いています。
そうですね,トラックは高速道路をピュンビュン飛ばして向かったわけですね。

数社から見積をとって一番安かったからここに頼んだわけですが,その後,同じ業者さんに引っ越しをお願いしたこともありませんし,今後も利用することはないでしょう。このときのお二人もすごく感じのいい方でしたし,作業も速くて丁寧でした。それでも頼みません。
違法であると知りながらお客様を同乗させる,速度制限を守らない,と,明らかな法令違反を重ねているわけです。担当のお二人の責任もそうですが,「急ぐ必要がある」,「仕事が詰まっている」という状況を作り出した会社側の責任も重大ですね。企業コンプライアンスを守らない業者さんは,いくら安くても利用すべきではないですし,利用しないことが消費者の責任であるとも感じているからです。

実社会においては,単純に利益だけを求めたり目的追求だけを考えたりする姿勢ではいけないですね。
ひるがえって,自分自身のことを考えたときに,果たして今の自分なら,「トラックに乗っていって」と言われたときにどうするだろうかと考えてもみました。
みなさんならどうしますかね?
難しい問題ですね。
私はどうするかというと,「こうした業者さんの中にはタバコを吸う方が多いです。タバコアレルギーなので,そもそもトラックに乗ることができません。」と回答は保留にいたします。

では。