志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

正しいフォームを身につける

こんにちは。

4/22の記事でプロ棋士の今泉健司先生のことを書きました。

来週の月曜日にNHKさんの「逆転人生」という番組で今泉先生が取り上げられるようです。

さて,今日は将棋のことを書きますが,先日,こんな方と対局しました。
「阪田流向い飛車」という奇襲戦法を得意にされている方で,おそらくほとんどその戦法しか指されないのでしょう。
専門的に書くと,△3三角と自分から上がったのに,さらに△8八角成と自分から交換してきて▲同銀に△3三金と上がられました。
つまりはものすごく損してまで「阪田流」という奇襲戦法の形にしたということです。そのことから,おそらくこれしか指さないのだろうと推測もできます。さらには,それに筋違い角を組み合わせたかなりユニークな戦法でした。
この奇襲戦法,正しく対処できないと,あっという間につぶされてしまいます。ただ,プロ棋士も,将棋AIもこんな戦法は指しません。正しく対処されると必敗だからですね。
しかし,持ち時間の短い将棋や,アマチュア相手,とくにはじめて対局する相手だとものすごく威力を発揮するでしょう。

この方の将棋を否定するわけではありませんし,これも1つの将棋の楽しみ方です。ただ,この方はもうこれ以上は強くならないな,ということは確実でしょうし,ご本人もそれを承知で楽しんでいらっしゃることでしょう。
スポーツでも芸事でも何でも,上達するためには正しい「型」を身につける必要があると思います。将棋においては奇襲戦法ではそれが身につかないと思われます。(念のため,将棋は私が序盤で必勝になってそのまま勝ちました。)

趣味ならば,楽しければそれで十分でしょう。私もたまに楽しみのために変な戦法を指すことがあります。しかし,勉強だとこれではいけないですね。

勉強について書くと,たまにこのような要望をいただくことがあります。
「できるだけ早く,そしてグンと成績を上げてほしい。」
「とりあえず直近の定期テストでうんと成績を上げてほしい。」
こんな方法はありませんし,あるならみなさんが実行しています。と,そんな返答をすることが多いです。
勉強にも正しい「型」,「フォーム」があります。まずはそれを身につけて,正しいフォームでコツコツと練習をつづけると,やっと半年後くらいに成績が伸びだすことが多いです。
正しい「型」が身についたならば,この生徒は今後の勉強においても困らないでしょうし,志望校に合格後も,さらには大学生や社会人になってからも伸びていくように思います。

しかしながら,本当のことを言えば,直近の定期テストだけなら,とか,ある特定の分野で,インチキみたいな方法で問題だけ解けるようになるなら,すぐに成績が上がる方法はないこともないのです。
将棋の例でいえば「奇襲戦法」みたいな方法ですね。
ただ,そんな指導をしても,生徒のためにはならないでしょうし,間違えたフォームが身についてしまって,逆に将来大きな弊害になることすらあるかもしれません。中学生を指導しているのであれば,この子が高校に進学した後のことについては無責任でいいのでしょうか,と。

教育というのは,その子の人生にとって,想像以上に大きな影響を与えるものです。
大人たちこそ,目先のことばかりを考えず,もっと大きな視点で,つまりは「正しいフォーム」を意識して,子どもたちのことを見守っていきたいですね。

では。