志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

百折不撓

こんにちは。

 

また将棋が大きなニュースになりました。ひと昔前だと,こんなに大きく取り上げられることもなかったでしょうから驚いています。

木村一基九段が46歳にしてはじめてのタイトルを獲得されました。

将棋に詳しくない方も多いでしょうから,少しだけ説明してみます。

将棋のプロ棋士は頭脳をフル回転させて戦いますので,アスリートと似た性格があります。30歳前後くらいが全盛期で,それからはだんだんと弱くなっていくと言われています。「読み(手を考えること)」の絶対量や速さは自然に衰えていくからです。46歳というと,スポーツでいえば40歳くらいの大ベテランの域に達しているでしょう。その方が,はじめてのタイトル(野球でいえホームラン王など,サッカーでいえば得点王などでしょうか)を獲得されたのです。まさに快挙でしょう。

 

木村先生は,若いころ,ファンの方に向けて色紙や扇子などに揮毫するとき,ユニークな言葉を書くことが多かったように思います。ファンの方へのサービス精神の現れでもあるでしょう。

私は,「一歩百円」と揮毫された木村一基五段(当時)の色紙を持っていました。事情があって知人に差し上げましたが。

友人は,「楽将」と書かれた直筆の扇子を持っていました。将棋道場でその扇子を使っていたところ,対局相手に「馬鹿にしているのか」と激怒され,トラブルになったことがありました。その方は,「楽将」と書かれているのを「楽勝」と勘違いされたのでしょう。

友人によると,終盤に勝ちが見えて,よしこれで勝ったと一手を指しときに,ほっと一息ついてその扇子を広げたそうです。お相手からすると,これは負けたかと悟ったとき,相手が広げた扇子に「楽勝(読み間違えですが)」と書かれているのを見たわけですから,心中穏やかではないでしょう。

「楽将」は,当然「楽勝」と意味をかけているのですが,「楽しく将棋を指そう」という思いが込められているそうです。

 

木村新王位ですが,現在では「百折不撓」と揮毫されることが多いようです。

意味は,何度失敗しても意思を曲げないこと,何度駄目になっても決してあきらめないこと,だそうです。木村先生の生き方,将棋の内容は,まさにその言葉通りのところがあります。不利な局面でもあきらめずに最善を尽くして粘りつづけます。

 

千葉に住んでいたときに通っていた加瀬純一六段の教室に,たまに木村先生がいらしてくださいました。私も何局か教わったことがあります。指導対局でも強靭な粘りを披露され,勝つのは至難の技でした。一度,必死(次に必ず相手の王様が取れる手)をかけて勝ちだと思った局面から負けたこともありました。ものすごい受け(守り)の妙手があって,実は必死ではなかったのです。ダメそうだと思っても,最後まであきらめないことの大切さを将棋で具現化されているのが木村先生でしょう。

 

受験勉強でもテストでも,それは同じです。あきらめなければ,花開くこともあるでしょう。

とくにテストでいえば,最後の1分1秒まであきらめないことで,1点を拾えるかもしれません。その1点が合否を左右することも少なくないのですから。

 

では。