志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

国語力と英語

こんにちは。

 

今朝のテレビで子どもたちの読解力の低下について取り上げられていました。

最近では,新聞でもテレビでも同様の話題がよく取り上げられます。私も子どもたちを見ていて,それはすごく実感しています。

「世代として」学力が低下していますし,その原因の大きな部分が読解力の低下でしょう。

 

教科書を読むための読解力がない,テストの問題文それ自体を読み取れなくて何を問われているのかわからない,といったことが指摘されています。

 

今日は実例として,英語に関することを書きたいと思います。

誤解のないようにはじめにお断りしておきますが,特定の生徒がどうだというのではなく,よくあることで,こうした生徒はたくさんいらっしゃいます。

 

まず,和文英訳がおかしなことになるというのがよくあることです。

 

たとえば

「彼は息子をたろうと名付けた。」

これを英訳するとします。

 

He named my son Taro.

 

と書く子がたくさんいます。

正しくは「my son」ではなく「his son」ですね。日本文にはだれの「息子」かは書いていませんが,普通に読めば「名付けた人(文の中の彼)の息子」ですね。なぜか「私」が登場して,「私」が赤の他人の「彼」に息子の名前を付けてもらうという英文を書いてしまいます。うっかりではなく,日本文をそう読んだからという場合がほとんどです。

生徒にまちがいを正すと,問題がおかしい,そういう風にこの日本語は書いていない,などと主張する子も多いです。

 

次に,中3で後置修飾が出てくると,わけがわからくなる子が多いです。

 

「That girl swimming in the pool is my sister.」

という英文があったとします。

「The girl who is swimming in the pool is my sister.」

という関係代名詞を使った文章でも同じです。

 

英文の「主語-述語」に当たる部分は,「That girl is my sister.」です。

それに対応して日本語の「主部-述部」に当たる部分は,「あの少女は私の姉です。」という部分です。

この「主語-述語」の関係が,おもに日本語で理解できないため,英文を理解できなかったり,おかしな語順の英文を書いてしまったりします。

 

日本語だと

「あの少女は私の姉です。」…が主部-述部,

「プールで泳いでいる」が「私の姉」にかかる修飾部,という関係があります。

これを瞬時につかめないので,またはそもそも日本語の主述,修飾・被修飾の関係がよくわかっていないため,

英語だと

まずは「That girl is my sister.」という主述の関係があって,

That girlを「swimming in the pool」で修飾すればいいのだとわからなくなります。

もちろん,英文和訳もうまくできません。

 

10年くらい前だと,日本語がよくわかっていないと感じる子は,一部の本当に勉強が苦手な子だけでした。

今では,平均点くらいを取れている子の中にも,日本語力の不足を感じる子はかなり多く存在します。英語に限らず,他教科でもそれは同じです。

デジタル・ネイティブ世代の今の子どもたちは,活字に触れる機会が極端に少ないのかもしれません。

 

対策は,本などの活字をたくさん読むしかないでしょう。しかも,おそらく,本を読むことの効果は1年先,2年先と,かなりのタイムラグがあってからじわじわと表れてくるでしょう。気がついてからでは遅いという場合もあり得ます。

 

では。