志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

勉強の価値

こんにちは。

 

札幌開成中の一次検査の発表がありましたが,おかげさまで,まずは一安心です。

たくさんの子どもたちを見てきましたが,適性検査で選抜を行う公立中高一貫校であっても,結果は順当に実力通りに合否が決まるものです。

適性検査対策をどれだけ行ったか,どれだけのことを身につけたか,公立中高一貫校の入試だからこそ,勉強量が合否を左右すると思っています。

 

以前に一緒に勉強をした生徒で,忘れられない子がいます。公立中高一貫校を目指す小学6年生の子でした。

はじめて会ったときには,この子は勉強がやりたくないのだろうなと感じました。

問題を解くように指示をすると,テキストの書体を真似しながらゆっくりときれいに「1」と書いて,それをまたきれいに四角く囲っていました。

それが書き終わるまでの間に,速い子だと2題くらい解き終わっています。

成績はというと,ご想像の通りです。

 

はじめ,この子は私の担当ではありませんでした。振替授業か何かで,1日だけ授業でご一緒したのが最初の出会いだったと思います。

 

それが,ひょんなきっかけから,私のクラスに入ってきました。しかもそこは選抜クラスでした。

他の教室に通われていたのですが,その教室に不満や不信感がある,どうしても選抜クラスに入りたい(きまりでは,この子の成績では入れないことになっていました)などの理由で,「政治的な力」が働いて選抜クラス入りをしたのでした。

 

周りはできる子たちばかり,さらには授業中も積極的,家庭学習もしっかりとこなして課題もどんどんと提出する,そんな環境でした。

その中でこの子はどうしたかというと,少しずつですが変わっていきました。

 

最初に,授業の後に残って勉強するようになりました。

30分くらい勉強して,こそこそした様子で帰っていくことが多かったでしょうか。

私も,たまに声をかけたり,声はかけなくても「頑張っているところを見ているよ」と伝わるように自習しているところをのぞいたりしていました。

だんだん自習時間が長くなってきたでしょうか,そして,わからないところを質問もするようになりました。

課題にも真剣に取り組んでいることが提出された解答用紙から伝わってくるようになりました。

最後には,授業中にも自分から手を上げるようになり,みんなと一緒になって勉強をするようになりました。

半年で,偏差値は20くらいあがったでしょうか。

 

この子が手に入れた学習に取り組む姿勢というものは,その後の人生において,大いに役立ったことでしょう。

本日,残念な結果に終わった方も,勉強の中で手に入れた大切なものはたくさんあるはずですので,胸を張って中学に進学されてください。

また,これから目指される方は,勉強量や勉強に向かう姿勢によってすべてが決まるのだと覚悟をもって1年間取り組んでみてください。

 

公立中高一貫校の入試というのは,不合格者が大量に生まれる性格の入試です。単純な合否以外にも勉強の価値があるという点は忘れないでいただきたいと思っています。

 

では。