こんにちは。
アルバイトに対しては,いわゆる「ボーナス」が支給されないことについて,格差の是正を訴えていた裁判で,最高裁は原告の訴えを退けたことがニュースになりました。
いろいろと根の深い問題です。
何が正しいのか,どうあるべき,それは個々で考えるべき問題でしょうし,私がここでとやかく言うことはしません。
しかし,あることを思い出したので,今日はそれを書こうと思います。
ある塾で社員として働いていたときのことです。
アルバイトの先生をたくさん雇っていました。特殊な塾でしたので,学生ではなく,フリーランスのプロ講師,悪くいえば社会人のアルバイト講師の方がたくさん働いていました。
塾でオリジナルの教材を作っていたのですが,教材の作成をアルバイトの先生にお願いすることがありました。しかし,その原稿料がものすごく安価なのです。委託業務でしたので違法にはなりませんが,教材作成には膨大な時間がかかりましたので,時給に換算すると,300円程度にしかならないのです。
専門知識をもつ優秀な先生だからこそ教材の作成もお願いしているのですが,これだとあまりもひどすぎると感じていました。
そこで,会議で原稿料の値上げを提案しました。
会社としてはコストを抑えたいのはわかります。しかし,その会議の席でまとまった会社の考えというのがおかしなものでした。
「テキスト作成に携わるということはこの塾のエース,スター講師であるということです。その自覚や誇りがあるからテキストをつくってくださるわけで,お金の問題ではないです。」
名誉を与えるからありがたがりなさい。お金などいらないですよね。
そんな態度です。これではあまりにもかわいそうだと思いました。それとも私の感覚がおかしいのでしょうか。
今回のニュースを見て感じたことですが,待遇には著しい格差があるにもかかわらず,責任や仕事内容,場合によっては,社員としての心構えや忠誠心までも,社員と同様のことをアルバイトに求める会社が多く,それこそが問題なのではないかと感じました。
学習塾は,しばしばブラックバイトとして挙げられています。時間外の労働が多いことが理由の一端ですが,根底には,上記のような精神性が求められていることがあるのかもしれません。
アルバイトの先生方,もちろん社員の先生方もそうですが,働く側に不満があれば,塾の教室そのものもうまくいかないように思います。
みんなが満足して楽しそうに働いているかどうかというのも,塾を選ぶポイントにはなるのかもしれませんね。
では。