こんにちは。
先日,テレビで知育玩具の特集をやっていました。いろいろなものがあるのですね。
関西の超名門中高から東大に進学した知人がいます。一度,物心ついたときには自分の周りは知育玩具であふれていたと寂しそうに語ってくれました。「寂しそうに」です。あまりいい思い出ではないのでしょう。
伸び伸びと好きなことをやりたかったのだろうと思います。
おそらく,かなり優秀な知育玩具は将棋でしょう。記憶力は良くなると思います。思考力もついていくかもしれません。
将棋にしても,ご本人が興味をもって楽しんでいればいいのですが,無理にやらせるのは本末転倒のような気がします。
棋士の記憶力がすごいという話は,何度がブログでも書いたと思います。あるプロ棋士は,テスト前日にさらっと教科書を読んだだけで日本史のテスト範囲の教科書の文章を全部暗記できたとか,そんなことも書いたかと思います。
ここからはあまり愉快な話ではありません。
読み飛ばしていただいてもかまいません。
Gくんという将棋のプロを目指していた少年を知っています。
奨励会というプロ棋士の育成機関に入会しました。その時点で県代表くらいの将棋の強さがあります。ふつうは6級からはじまって四段になるとプロなのですが,Gくんは5級で入会したものの,6級に落ちてそのまま上がることなく,やがて奨励会を去っていきました。
しばらくしたある日,テレビのニュースでGくんの名前を目にしました。珍しい名前なので間違いなく彼だと思いました。
他人のクレジットカードの情報を暗記し,それを使ってインターネットで買い物をしたそうです。
12ケタのカード番号,使用期限,名義人の名前と「たったこれだけ」なら,彼ならば簡単に覚えられたのかもしれません。
「知」はある程度は育ったものの,肝心な人間として大切なものが育たなかったのかもしれません。もしくは将棋をやめて腐ってしまったか。事実,奨励会にいた頃は,なかなかの好青年でした。
知育にばかりこだわっていては,大切なものを見失ってしまう危険性もありそうです。
では。