こんにちは。
昨日ご紹介した山本博志四段ですが,10年以上前,お父さまが山本少年が将棋に勤しむ姿をブログに書かれていました。
ブログ「父と子の素人将棋日記」
お父さまも一緒になって将棋を楽しまれていましたし,大人としては驚異的なスピードで強くもなっていかれました。
お子さまを温かく見守るご様子,父親の息子への愛情も,ブログからひしひしと伝わってきます。
実は,山本親子が将棋を始めた頃,ちょうど私は将棋連盟の道場で働いておりました。この親子のこともよく覚えています。
本当にいいお父さまでしたし,尊敬する大人の一人でした。いかにも知的な印象で,一流企業のエリート社員のような印象でした。しかも,それでいて,休日はお子さまと一緒に過ごし,家族への深い愛情も感じられます。素直に憧れました。
しかし,失礼ながら,当時の私は山本博志少年はプロ棋士にはならないと思っていました。将棋の才能がないとかそういうわけではなく,もちろん抜群に将棋は強かったのですが,別の道に進むのではないかと思っていたのです。
たぶん,東京大学に進学して,アマチュアとして活躍するのではないかと,勝手にそんな想像をしていました。ものすごく利発な少年で,頭がよかったこともありますし,お父さまの雰囲気からも,進学を優先するのではないかと,おぼろげに考えていました。
ところが,奨励会へと入り,そしてプロになりました。
ここからは想像ですが,おそらく,山本少年のご両親は,お子さまの自主性や意思を尊重されたのだと思います。そして,お子さまを見守りつつ,サポートすべきは手助けをして,伸び伸びと育てられたのだと思います。
それが,プロ棋士になった一番の要因ではないかと思うのです。
仮に,大学に進学しなさい,東大を目指しなさい,などと言われていたとしたら,プロ棋士山本博志も東大生山本博志も誕生しなかったような気がします。
将棋の面でも,勉強の面でも,お子さまに過剰なまでに投資(お金と時間と労力)をして,英才教育を受けさせている方たちを少なからず見てきました。
しかし,必ずしもうまくいくわけではありませんし,むしろ,失敗することのほうが多いように思います。
結局,大らかで温かいご家庭の中で,伸び伸びと育つことが,お子さまにとっては一番なのではないかと思っています。また,そうした環境でないと,本当のトップ層にはなかなかなれないのではないかと思っています。
では。