志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

居場所

こんにちは。

先日のブログにも書きましたが,NHKさんの『逆転人生』で今泉健司先生が取り上げられている放送を拝見しました。
その番組の中で,今泉先生が次のようなことをおっしゃっていました。
「介護の仕事を通して,将棋以外に自分の居場所が見つかった。それが将棋の好成績につながった。」というような要旨のことです。
一言一句正確には再現できていないでしょうけれど,大筋では伝えたい内容はこれで合っていると思います。

この「居場所」というのは,なかなか大切なことではないかと感じました。
子どもたち,とくに勉強が苦手な子たちを見ていると,「居場所」がある子とない子では,さまざまな点で明らかに異なっています。勉強が得意な子というのは,勉強それ自体が「居場所」になっていることがありますし,いつでも「居場所」にすることができます。ですので,勉強が苦手な子が問題となります。

仮に勉強が苦手だったとしても,何かのスポーツが得意で部活で好成績を上げている子もいます。この子には「スポーツ」という「居場所」があります。野球でもテニスでも陸上でも何でも構わないのですが,自分の価値が認められて,自分に自信がもてて自分が輝ける場所がありますね。スポーツに限らず,絵が得意とか,将棋が強いとか,課外活動で中心的な役割を果たしているとか,勉強以外のところで「居場所」がある子どもたちが大勢います。

一方で,勉強もうまくいかないし,ほかのどれをとっても自信がもてるものがなく,何をやっても楽しくないと,「居場所」を見つけられない子もいます。

前者は勉強が苦手は苦手なりに頑張れるものです。勉強がうまくいかなくても前向きに生きていけます。
反対に,後者は,努力なんかしても無駄だし,どうせうまくいかないのだから,勉強なんて最初からしないほうがいいに決まっている,と,ちょっと極端に書きましたが,前向きに頑張るという一歩すら踏み出せない場合も少なくありません。

どんなことでも構いませんので,自分が自信をもてて輝ける場所というものを子どもたちにもたせてあげるよう配慮する必要があるでしょう。難しいことではなく,勉強以外でも,得意なこと,好きなことを頑張らせる,単にそれだけのことでしょう。したがって,勉強だけが,偏差値だけがすべてであるという偏った価値観を子どもたちに押しつけないようにはしないといけませんね。

勉強が得意な子たちでも,勉強以外にも「居場所」があると強いのかもしれません。
進学校にも大きく分けて2つのタイプがあります。厳しい校風で,勉強に重きを置いて大学進学を重視する学校と,対して,自由な校風で,部活も学校行事もみんなで頑張るし,進学実績もあげている学校の2タイプです。
どちらがどのタイプかとは書きませんが,札幌市だと「札幌南と札幌北」,東京都だと「西と日比谷」,神奈川県だと「湘南と翠嵐」の違いでしょうか。
入学時点での学力にはあまり差がなくても,むしろ自由な学校のほうが大学進学実績が良かったりもします。
以前,ある都立高校(進学校)の先生がこのようなことをおっしゃっていました。学校行事も部活も高3の夏まで,ギリギリまで精一杯生徒たちはがんばる。それが,受験勉強の原動力になってグングン伸びていくから,大学入試もうまくいくのだ,と。
つまりは,勉強以外の「居場所」が受験勉強の支えとなり,学業にも好影響をもたらしているということでしょう。

では。