志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

二枚落ち

こんにちは。

将棋では,上級者と対局するときにハンディをつけて行うことがあります。
代表的なのが二枚落ちといって,上級者が飛車と角という2枚の強い駒を抜いて対局します。
プロ棋士に二枚落ちで勝てたら二段か三段くらいの実力とも言われています。

私は,何人かのプロの先生から,「にしさんは二枚落ちはもう卒業です。」とおっしゃっていただき,プロの先生に教えていただくときには飛車落ちといって,飛車だけを抜いてもらって教わっています。
つまり,二枚落ちだと(持ち時間であるとかいろいろな条件はありますが)どんなに強い相手であっても勝負にはなるということでしょう。

ところが,全然勝てない相手がいます。
インターネット上に「水匠改」というフリーの将棋ソフト(AI)が公開されています。
これをダウンロードして対戦してみたところ,二枚落ちでは全く歯が立ちません。

将棋のわかる方向けに内容を書いてみます。わからない方は読み飛ばしてください。
序盤は有利を拡大できます。銀多伝なんかの定跡が優秀だからです。
ところがAIは,無理攻め気味に端攻めを強行してきたり,ばんばんと歩を突き捨ててきたりします。少しでも受け間違えるとあっという間につぶされてしまいます。
これを丁寧に受け切って勝勢(指導対局なら投了してもおかしくない局面)になったと思っても,怪しげな手が飛んできて,これも受け間違えるとあっという間に寄せられてしまいます。

要約すると,絶望的な状況でもAIは常に最善を尽くしてきて,ちょっとでも間違えると,もう勝てなくなってしまう感じですね。

たぶん,将棋AIは,プロ棋士よりもはるかに強いでしょう。指してみて実感できました。
いろいろな分野にこれからAIがどんどん進出してくるでしょう。どんな分野でも,AIのほうが圧倒的に有能であるという時代がすぐに訪れるような気がします。
教育の分野も例外ではないでしょうね。
アニメーションの映像授業なんかがあって,AIが生徒のレベルに合わせたものを選んで見せます。次に,レベルに合わせて演習問題を解かせ,その正誤を判定して,次にやらせる課題を選んでいく,そんな風になっていくように思います。

将棋AIの最大の強さは,「心」がないことだと思います。
絶望的な局面でも,あきらめずに最善を尽くせる,人間だとなかなかできないことです。
ですが逆に,教育の分野だと,「心」がないとうまくいかないかも知れません。確かにAIが先生になれば,生徒にとっての最善のカリキュラム,それも1題1題の演習問題までもが最善になったものを提供することができるでしょう。
しかし,人間の先生は涙を流します。
そのことだけで,人間の先生が必要であるし,教育の分野ではAIは人間の先生を超えられないことは説明がつくようにも思います。

近い将来,AIの先生が登場し,どんどんと普及していくように思います。
ただ,一部では,教育熱心なご家庭や,学力が高い層,そして逆に障害をもつような特別な支援が必要な子どもたちに対しては,人間の先生は生き残りつづけるように思っています。
AIが活躍する未来はどんな世界になるのでしょうかね。

では。