こんにちは。
先日,教え子とよく似た女性を見かけました。
都立のトップ校に悠々と進学された大変に優秀な方で,今は大学1年生になっているはずです。
声はかけなかったのですが,本人かもしれませんし,違うのかもしれません。
もしもどちらかの人生にとって意味のあることなのであれば,また会えると思っています。会えなければ意味がないということでしょう。人生はそうな風にできているものでしょう。
大学に入学したての頃,会うとちょっとした会話をするようになった同級生がいました。
1990年代には「コギャル」という派手におしゃれをした女子高生たちが社会現象となっていましたが,まさにコギャルといった風貌の方でした。「なんでこんな子がうちの大学にいるんだろう?」と,それが彼女の第一印象でした。
すんなりとは大学になじめなかったところが似ていたのかもしれません。
「カヒミ・カリィ好きなんだ?」
「大学つまんないね」
「大学つまんないね」
と,そんなことを話したのを覚えています。しかし,彼女とはそれ以上仲良くはなりませんでした。
4月中には,彼女の姿を大学で見かけることはなくなったからです。そのうち,彼女のことは忘れてしまいました。たぶん,お互いに名前も名のっていなかったと思います。そんな一瞬の出会いでした。
1年後,高校の同級生が都内の大学に合格して上京してきました。
あるとき,その彼の口からこんな言葉が吐き出されました。
「そういえば,お前の大学,速攻で辞めた人を知ってるよ。大学はどうなのさ?」
速攻で辞めた人って,一体全体何があったのだろうか?そもそも何でそのことを知っているのだろうか?と,少々混乱しながら事情を聞いてみると,こんなことでした。
彼の札幌の予備校には,東京の高校を出たけれど,親の仕事の都合で引っ越しをして,札幌で浪人生活を送っている方がいらしたそうです。
その方は東京に彼女がいたそうです。遊び人でコギャルみたいな女の子で,私と同じ大学に入学されたそうです。
4月の末,この方のもとに彼女から電話があり,「大学つまんないから辞めたわ。アメリカに留学することにしたからお別れね。」と,突然告げられたそうです。
ああ,きっとあの子だなあと,それは姿を見なくなったわけだなあと,彼女のことを思い出しながら,単純な驚きと懐かしさ,彼女の決断の良さや行動力,そして簡単に留学できる裕福な家庭に育ったことに対しての羨望と嫉妬など,非常に複雑な感情が沸き上がってきたのでした。
もちろん,彼女とはそれっきりです。
教え子かもしれない女性を見かけ,とりとめもなく考えているうちに,この大学時代の一瞬の出会いを思い出したのでした。今こうして思い出しているということは,彼女との出会いも,互いの人生にとって何らかの意味があったのでしょう。
では。