志学ゼミナール塾長のブログ

札幌市,中島公園近くの学習塾「志学ゼミナール」のブログです。

「ずるい」

こんにちは。

昨日は,札幌でご活躍の女流棋士久津知子先生主催の駒フレンド将棋交流会というものに参加してきました。
大会があったのですが,人と指すのは2年ぶりであるにもかかわらず,なんと6連勝して優勝をしてしまいました。
一手詰の練習をはじめて数日ですが,その効果か,すごくよく手が見えました。
(「一手詰」と書くと,初心者だと勘違いされる方も多いと思います。将棋は有段者,何年か前まではネットで将棋を指すこともありましたが,将棋クラブ24のレーティングで1800点くらいでした。)

その「手が見える」状態を簡単に説明すると,将棋には「考えないでもわかる部分」と「よく考えて結論を導く部分」とがあるのですが,パッと盤面を見たときに,「考えないでもわかる部分」の領域がすごく広くなったような感覚です。

ゲストでいらした船戸陽子先生とは,LPSAの教室で何度も教わった仲です。
優勝賞品の色紙をもらうときに,
船戸先生「にしさん(私)は,どうしてそんなに強くなったのかな?」
私「以前,船戸先生にご指導をいただいていました。」
みたいなやりとりがあったのですが,それを聞いて小学生がぼそりと「ずるい」と漏らしていました。

「ずるい」かどうかはそれぞれの価値観にもよるでしょうけれど,確かに,地方の方たちから見ると,東京に住んでいることは大きなアドバンテージになります。
LPSAの教室に通っていたときには,同時に加瀬純一先生の教室にも通っていました。プロ棋士の指導を簡単に受けられるというのは,地方の方にとってみれば夢のような話でしょう。
勉強の面でも,私立の有名校や実績を上げていて実力講師もそろっている塾・予備校も東京には山ほどあります。
博物館・美術館といった施設も多く,文化や芸術に触れることも容易です。
ものすごく「ずるい」くらい環境が整っています。

その「ずるい」環境で将棋を勉強した私ですが,さまざなに勉強になったことがあり,その中の1つが一流のプレーヤーの「感覚」に触れることができた点です。
「一手詰」の関連でいうと,プロの先生方は,10数手詰くらいの「簡単」なもの(もちろんアマチュアは詰ますのも大変)であれば,「一目」で詰みとわかります。そうした「感覚」がなんとくなくわかるので,私も一手詰をどの程度までできるようになれば良いのか,「一目」とはどういうものか,目標が明確ですし,これは効果のある練習だというのも実感できるわけです。

つまり,「ずるい」ことの中でも最大のものは「一流」に触れられることだと思うのです。
将棋に限らず,どんなものでもそうですが,「一流」に触れられる貴重な機会があるのであれば,それを逃さずに貪欲になってほしいと願っています。まったく関係のない分野の「一流」に触れることで,目指す分野のヒントが得られることも多いと思いますよ。
東京などにいらっしゃるのであれば,いつでも行けると思わず,常日頃からそうした場所に足を運ぶとよいでしょう。また,地方の方であれば,今回のようにプロの先生がいらっしゃるですとか,そうした機会を逃さないよう心掛けるとよいでしょう。
昨日の船戸先生の指導対局も大人気で多くの方が受けていらっしゃいましたが,私は遠慮させてもらいました。「ずるい」機会の少ない方に譲るような気持ちがあるからです。強い子もたくさんいたので,この中からプロになる子も出てくるかもしれません。

ちなみに,いただいた色紙がこちらです。
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「八風吹けども動ぜず てっぺんの月」という,調べたら禅の言葉のようです。
苦難があっても,お月様のような穏やかな心で過ごしたいなと,改めて思ったのでした。

では。